アパートの内装工事で耐用年数とはどのくらいなのでしょうか。
アパートなどの建物は年数が経過するとともに価値が減少していきます。
その価値の減少分を毎年経費として計上する会計の方法が「減価償却」です。
この減価償却の対象となる資産は決まっていて、アパートの内装をリフォームするなどした費用も対象になる場合があります。
そこで、この減価償却に必要になってくるのが法定耐用年数です。
目次
アパート内装工事 耐用年数|法定耐用年数とは
法定耐用年数は資産の種類や用途ごとに細かく設定された減価償却の期間です。
税法では、「資産の種類」、「構造」、「用途」によって耐用年数を詳細に定めており、建物の主な構造によって以下のように規定されています。
- 木骨モルタル造…20年
- 木造・合成樹脂造…22年
- 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造…47年
ただし、これはあくまで法律で定められた画一的な年数のため、個別の建物が何年経済価値を有するかを判断するものではありません。
アパート内装工事 耐用年数|減価償却の対象となる内装工事
アパートなどの建物の内装をリフォームするといっても傷の補修や表面の汚れ除去といった簡単なリフォームであれば、その費用は「修繕費」として経費処理され減価償却は行いません。
一方で、リノベーションのような建物を再生し、価値を高めるようなリフォームは「資本的支出」とみなされ減価償却を行うことがあります。
また、傷の修復や汚れ除去を目的としていても、工事の規模や金額によっては資本的支出と判断され、減価償却の対象となる可能性もあることを知っておかなくてはなりません。
そこで修繕費として扱われる目安となるのは、たとえば以下のようなケースです。
- 工事費用が20万円未満
- 原状回復が目的
- 工事費用が20万円を超えていても、3年以内に定期的に行われるもの
- 災害で被害を受けた箇所の修復
また、減価償却の対象となるケースは以下のようなものが考えられます。
- 工事費用が20万円以上
- 元の状態より価値を高める工事
- 販促を目的として改装や増築、設備の追加などを行った場合
- 災害対策のための設備の強化や追加
アパート内装工事 耐用年数|内装工事の減価償却の方法
減価償却を行う場合には資産の法定耐用年数を調べる必要がありますが、内装工事の場合、「建物部分」なのか「建物附属設備部分」なのかを大きく区別しておかなくてはなりません。
その上で、建物部分の工事には建物の法定耐用年数を用い、建物附属設備部分には設備の法定耐用年数を用います。
実際に建物部分に該当するのは間仕切り壁の新設、外壁塗装工事、断熱工事などで、建物附属設備部分となるのはトイレ、照明、エアコンなどの設備です。
アパート内装工事 耐用年数|リフォームの耐用年数
たとえば木造・合成樹脂造の築15年のアパートを大規模リフォームした場合、22年の耐用年数から差し引いた残存耐用年数の7年で減価償却を行うのではなく、もともとの建物の耐用年数である22年で減価償却を行わなければなりません。
また、トイレなどのように設備と明確に区分できる場合には建物附属設備部分の耐用年数が適用され、トイレは「給排水、衛生設備」に該当し、耐用年数は15年となります。
アパート内装工事 耐用年数|減価償却の計算方法
減価償却は選択できる方法が資産の区分に応じて決まっていて、建物と建物附属設備の工事費用は毎年同じ金額で減価償却をしていく「定額法」で計算しますが、計算式は以下のようになります。
工事費用×定額法の償却率 |
また、実際の償却率や法定耐用年数は、国税庁のホームページで確認が可能です。
一方、アパートの内装のリフォームなどが必要となるのは中古物件に多くみられ、購入と同時に行われることも少なくないため、「再取得額」が適用されます
再取得額は同等の建物を建て直したり、新たに購入するのに必要な金額のことで、物件を購入した費用ではありません。
ただし、工事費用が中古物件の再取得額の50%を下回っている場合は、「簡便法」と呼ばれる計算方法が適用でき、その場合減価償却費を求める計算式は以下ようになります。
(建物の法定耐用年数-経過年数)+経過年数の20%=簡便法の耐用年数 (中古物件の購入費用+工事費用)÷(中古物件の購入費用÷簡便法の耐用年数+工事費用÷中古物件の法定耐用年数)=耐用年数 |
これにより、通常の減価償却よりも期間が短くなり、一度に計上できる減価償却費も増加します。
このように、アパートはリフォームなどによっての内装工事を行うとその費用は資本的支出となり、減価償却の対象となることがあります。
このため、賃貸物件を所有しているような場合には、減価償却のしくみや計算方法などを知っておかなくてはなりません。