マンションの一括受電の市場規模とはどのようなものでしょうか。
電力会社と契約を交わす場合、マンションの場合には各家庭単位だけではなく、マンション全体で契約することも可能です。
それが、「高圧一括受電」と呼ばれるもので、結果として電気料金を削減することができるため、マンション経営者をはじめ、管理組合、入居者にとってもメリットがありますが、反面デメリットも存在します。
目次
マンション一括受電 市場規模|高圧一括受電とは
マンションのような集合住宅の場合、住戸の数が多くなればなるほど全体の電気使用量は増加し高圧の電気を必要としますが、この場合マンション全体を1つの利用者とみなし、電気を一括で購入することもできます。
また、一括受電は一般家庭に先駆けて行われた電力自由化に伴うもので、ファミリー向けのマンションであれば40戸程度から一括受電が可能です。
こうした高圧の電気料金は一般家庭などの低圧の電気料金と比較すると3〜4割ほど安いという特徴があり、「託送料金」という送配電線の使用料が戸建てのように住戸ごとに必要ないため、割安で電気を使用することができます。
ただし、一括受電は高圧の電気を低圧に変換する機械の設置や、電力会社とのやり取りにはサービス業者が仲介するため、その費用を差し引くと、専有部で5〜10%、共用部で20〜40%程度電気料金が削減できるのが一般的です。
マンション一括受電 市場規模|高圧一括受電の市場規模
マンションの一括受電は2005年から開始されており、株式会社富士経済が平成27年に発表した「マンション高圧一括受電サービスに係る実態調査」によれば、平成22年度には119,500戸だったものが、平成26年度には439,200戸(見込)となっており、契約数は着実に増加しています。
また、新築マンションと既築のマンションを比較した場合には平成26年度には新築マンションが149,500戸に対し、既築マンションが289,700戸と、既築マンションのほうが約2倍多いことがわかります。
マンション一括受電 市場規模|高圧一括受電導入の流れ
高圧一括受電は、新築マンションの場合、購入時にそのマンションが一括受電かどうか明らかになっていることから、入居者が契約時点で同意すれば導入することができます。
一方、既築マンションでは入居世帯の3/4以上の賛成がないと一括受電に変更することができません。
その上で、賛成が得られた場合にも全戸から同意と利用申込書を集める必要があります。
また、一括受電業者との契約期間はおよそ10年〜15年となっていますが、再度個別の契約に戻す場合には、再び全世帯の同意と設備費用の一部負担や契約期間中であれば違約金も発生することがあります。
マンション一括受電 市場規模|高圧一括受電のメリット
高圧一括受電の最大のメリットは電気料金が安くなることです。
マンションでは高圧一括受電に切り替えることによって高圧一括受電の電気料金が適用され、電気料金の削減が可能です。
仮にマンション一棟の規模が小さい場合でも、複数の棟をまとめて一括受電契約にできるプランもあります。
また、高圧一括受電契約の電気料金は主に2種類あり、専有部の電気料金を削減するプランと、共有部の電気料金を削減するプランです。
専有部の電気料金削減
専有部の電気料金を削減するプランでは各家庭の電気料金が、5%~10%ほど安くなります。こちらは主に 新築のマンションに採用されることが多いプランです。
共有部の電気料金削減
エレベーターや電灯といった共有部の電気料金が安くなり、管理費や共益費が削減できるプランです。
既存のマンションに適用されることが多く、共用部は高圧電力の電気料金の単価となる一方で、専用部は低圧電力の単価が適用されます。
マンション一括受電 市場規模|高圧一括受電のデメリット
高圧一括受電は電気料金が安くなる一方で、デメリットもあります。
これらを知っておかないと、入居者とのトラブルも引き起こしかねません。
費用
高圧電力の契約では変圧器などの設備を設置しなければならず、この設備を管理するための人件費も必要です。
停電の義務化
高圧一括受電契約では受電設備点検のため年1回の停電が義務付けられています。
設備や点検の手法など、条件を満たせば3年に1回以上に延長できますが原則1年に1回となります。
これは、人工呼吸器や電動ベッドといった医療機器を使用している入居者にとっては重大な問題で、特に既存のマンションに一括受電を導入する場合は、十分な事前説明と意見交換が必要です。
現在、高圧分野の電力自由化によって高圧電力契約に対応する新電力が多数登場しています。
このことからも、高圧一括受電サービスの市場規模は今後さらに拡大していくと考えられます。
その上で実際に高圧電力を契約する場合には、経営資金をより有効に活用するために、電力会社の選定が重要になるといえるでしょう。