不動産の差押と予納金を徹底解説をします。
不動産を入手する方法は、不動産会社などが売主と仲介する売買契約が一般的です。
近年、市場価格より低価格で入手出来る競売が注目されています。
不動産の差押、競売の申し立てには手続きが必要になります。
必要となる予納金や相場の額はどのようなものなのでしょうか。
目次
不動産の差押と予納金|手続きとは
不動産の差押とは、裁判所の許可を得て、裁判所の主導のもと債務者の土地や建物を強制的に売却し債権を回収する手続きのことです。
手続きには、判決、和解調書、公正証書などの権利を証明する公的文章、差押対象の情報、差押対象の調査や評価にかかる予納金を用意し、裁判所に申請して許可を得ることが必要となります。
不動産差押のメリットとして、資産価値が高い点、法務局などで登記内容が確認出来る点が挙げられます。
デメリットとして、担保設定されていた場合その債権者が優先される点、手続きに時間と予納金などの費用がかかる点です。
不動産の差押と予納金|相場と注意点とは
不動産の差押に必要な予納金は請求債権額によって50~200万円となります。
また予納金のほかにも、印紙代、差押登記のための登録免許税などの費用も請求者が負担します。
不動産が売却できた場合、予納金とその他の費用は売却代金から償還されます。
つまり債務者が負担することになります。
ただし売却できなかった場合、予納金から実際に発生した経費の残金だけが返却されることになります。
予納金は手続き上に関わる費用を全て賄います。
具体的には差押の嘱託登記手続き、各種書面の郵送料、現況調査報告書や評価書の作成費用、売却実施処分広告の費用などです。
不動産の差押と予納金|購入の注意点
差押の不動産の購入では、決済前に差押の抹消が最も大切です。
つまり所有権と抵当権が記入されている登記を抹消することです。
念のために、契約書に白紙解除の特約をつけると安心ですね。
そして決済日に必ず登記しましょう。
登記は先のものが優先されるからです。
また、ひとつの不動産に差押以外に住宅ローンやその他の債権の抵当権、仮登記などがついていることもあります。
その場合、各債権者を説得して抵当権や差押などの抹消をしてもらう必要があります。
そのような複雑なケースでは、手続きに慣れた信頼のおける業者に依頼するのもよい方法ですね。
不動産の差押と予納金|競売の方法
競売の不動産は、最高裁判所の競売専用サイト BIT 、地方裁判所のホームページ、不動産競売物件情報サイトで探すことが出来ます。
管轄の地方裁判所の閲覧室で物件明細書、現況調査報告書、評価書を入手します。
自分で現地調査をすると安心ですね。
振込依頼書に補償金を納付し入札します。
補償金は売却基準価格の20%です。
落札出来なかった場合には全額返却されます。
最高価買受申出人となり売却許可が決定したら残金を納付します。
所有権の移転登記をし、競売物件の明け渡しが行われます。
落札後には納める税金があります。
不動産取得税、登録免許税、所有権移転登記の登録免許税、負担記入抹消登記の登録免許税です。
その他にかかる費用として、リフォーム費用や明け渡し費用が発生する場合があります。
不動産の差押と予納金|競売のメリットとデメリット
競売の最大のメリットは、入札価格が低いことです。
買受可能価格は売却基準価格の8割、売却基準価格は市場価格の6~7割なので、買受可能価格は市場価格の半分程度になります。
競売のデメリットは物件の瑕庇や欠陥が購入者の責任になることです。
物件の内覧が出来ない、物件の引き渡しが保証されていないことも挙げられます。
物件明細書に賃借権など買受人が引き継がなくてはならない第三者の権利がある場合はその登記は抹消されないので注意が必要です。
住宅ローンが利用しにくいので、現金で一括払いするか、金融機関から住宅ローン以外で資金を調達しなければなりません。
不動産の差押と予納金|まとめ
不動産の差押の手続きとメリット・デメリット、必要となる予納金や相場の額、差押の不動産を購入する際の注意点、差押不動産の競売の申し立ての手続きとメリット・デメリットについて解説しました。
不動産の差押には50~200万円の予納金、競売には売却基準価格の20%の補償金が必要になります。
発生しやすいトラブルには事前の準備で免れることもできますので、どうぞお役立てください。