不動産の買い替え特例(法人)とはどのようなものなのでしょうか。
また法人と個人ではどのような部分が変わってくるのでしょう。
この特例のメリットやデメリットなど、基本の知識や、覚えておきたいことをまとめています。
目次
不動産の買い替え特例の法人の解説|概要の解説
不動産に関する買い換え特例は、国税庁が決めている特例です。
これは個人でいうところの、特定のマイホームを売って、代わりのマイホームに買い替えた場合に適用されます。
担当が国税庁であることからも、かかっている税金金額をある程度、減額されるという特例となっています。
これは2011年にあった東日本大震災の被害者にも適用されているもので、相応の理由がある場合に限定されてきます。
この手続を済ませることで一定の要件のもと、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができるものなのです。
但しあくまで繰り延べるだけであって、非課税にはなりません。
不動産の買い替え特例の法人の解説|個人と法人の違い
個人ではマイホームである場合が多くあります。
これは「特定の居住用財産の買い替えの特例」といいます。
売却代金が一億円以下であることが条件であり、マイホームを売った年の前年から翌年3年までにマイホームを買い換えることが条件です。
しかし法人の場合は「事業用の資産を買い替えたときの特例」と呼ばれます。
これは事業の用で利用されている土地などを譲渡し、一定期間内に土地建設などの特定の資産を取得して、一年以内にこの資産を事業に利用した時に課税を延長することができます。
個人と違い、あくまで事業に使われて足りなくなったお金を、支払い延期とします。
不動産の買い替え特例の法人の解説|適用条件
法人が不動産の買い換え特例を適用される条件は
- 譲渡資産と買い替え資産は、ともに事業用のものであること。
- 譲渡資産と買い替え資産が、一定の組み合わせに当てはまる(工場・作業場・研究所・営業所・倉庫に値するもの)。
- 買い替え資産が土地である場合は、面積が譲渡した土地の面積の5倍以内であること。
- 資産を譲渡した年・前後1年以内に買い替え資産を主とすること。
- 買い替え資産を取得した1年以内に、資産を事業に使うこと。
- 他の特例と併用はできない。
- 土地の譲渡は原則として5年を越えていること。
- 資産の譲渡が、収用・贈与・交換・出費によるものの譲渡ではないこと。
以上の8つです。
不動産の買い替え特例の法人の解説|メリット
事業用資産の買い換えをすることで、土地の評価を下げることが可能であり、収益性の改善や活用度が大きく上がります。
台数が埋まらない駐車場や、家賃の低い古いアパートなどが、都心の高立地の資産に変化します。
また法人として特例を利用し、収益を家族で分けることで所得税の軽減も期待することができます。
土地の無償変換に関する届け出を提出することで、権利金に関する課税も必要なくなります。
これらのことが、相続税に関する対策として、効果を発揮する場合もあるのです。
この特例は買い替え資産に制限が少ないため、使い方ではかなりオトクな使い方をすることが可能です。
不動産の買い替え特例の法人の解説|デメリット
デメリットは建物の減価償却対象額が少なくなることで使える経費が減ってしまい、最終的に個人の所得税が高くなります。
多い場合は2億近くの差が出てきてしまうこともあります。
また課金の繰り延べができても、買い替え資産の引渡日に、譲渡資産を引き継げないなどのデメリットも出てきてしまいます。
これらの資産の組み換えでは、場合によっては一旦大きな譲渡税が発生してしまうこともあり、最終的には大きく不利益が出てきてしまう場合も少なくありません。
相続対策として利用するならば、別の手段のほうが確実である場合も、状態によっては発生します。
不動産の買い替え特例の法人の解説|まとめ
不動産の買い替え特例を受ける場合、法人である場合は、現在の土地の利用目的が大きく関わってきます。
個人であればマイホームの範囲であり、大きな出費などにつながることはありません。
しかし法人である場合は、土地の利用目的や見込みをしっかりつけておかないと、余計な出費の原因となる場合もあります。
しかし納税に猶予が出ることで、将来的には安心感を得ることも難しくなく、買い替え資産に制限が存在しないというのは大きな利点となっています。