マンションの登記簿謄本の見方とはどうしたらよいのでしょうか。
登記簿謄本は不動産の内容や所有者などを記録しているものですが、さまざまな書類の電子化に伴い、現在では登記事項証明書と呼ばれています。
また、マンションの場合には一戸建ての登記事項証明書とは異なり、マンション特有の内容で構成されているものです。
目次
マンションの登記簿謄本の見方|マンションは区分建物
マンションが一戸建てと異なるのは、ひとつの建物の中に、独立し区分された「専有部分」が複数あるということです。
このような建物を区分建物といい、各専有部分の所有権は区分所有権、所有者は区分所有者と呼ばれます。
また、この場合、土地(敷地)は複数の区分所有者が共有することになり、特定部分を単独で所有しているわけではありません。
よって、土地と建物が一体となって登記されている権利形態となり、建物部分だけを残し、土地部分だけを売却することは不可能です。
このように、専有部分と分離して処分できない敷地に関する権利を敷地権といいます。
このため、登記事項証明書を見る場合も、区分建物については、これらを前提にしなければなりません。
マンションの登記簿謄本の見方|登記事項証明書の構成
登記事項証明書は、大きく表題部と権利部の2種類で構成され、このうち権利部はさらに甲区と乙区に分かれて構成されています。
表題部
まず表題部には、不動産の物件状況を示します。
つまり、不動産の物理的状態を記載するもので、不動産の状況が変化した場合は、1ヶ月以内にそれについて登記することが義務づけられており、公益的な性格が強いことから、必ずしも所有者の申請でなく、登記官が職権によって登記することも可能です。
また、表示に関する登記には、物件状況を明らかにするほかに登記単位を変更するという役割もあり、こちらは任意であることから、職権による登記を行わないのが原則となります。
その上で、土地・建物それぞれの記載内容は以下のようになります。
土地
所在、地番、地目、地積、取得原因とその日付など。
マンションなどの区分建物の場合は、敷地権の種類や割合なども記載します。
建物
所在、地番、家屋番号、種類、構造、床面積、取得原因とその日付など。
区分建物の場合は、一棟の建物の表示のほか、専有部分の建物の表示として、建物の名称なども記載します。
権利部
次に権利部には、権利に関する登記のほか、不動産の権利関係を示すもので、甲区、乙区の記載内容はそれぞれ以下の通りです。
甲区
所有者の住所、氏名、登記の目的、取得年月日、取得原因を記録するほか、所有権保存登記や所有権移転登記と、その仮登記や処分の制限などに関する登記も記録します。
乙区
登記の目的、原因、権利者などを記録するほか、抵当権、根抵当権、地上権、地役権、賃借権などの設定や移転、抹消といった所有権以外の権利の登記を記録します。
また、乙区は不動産担保など、所有者以外が利用する必要が生じた場合その権利を設定するためにつくるもので、必要がないときにはつくられません。
マンションの登記簿謄本の見方|マンションの登記事項証明書
一戸建ての登記事項証明書であれば、土地と建物は別々になっており、それぞれの内容を確認することになります。
しかし、マンションの場合土地は複数の区分所有者が共有しているので、土地と建物が一体化した登記事項証明書となり、敷地権や土地全体の持ち分の割合などが記載されます。
マンションの登記簿謄本の見方|マンションにおける表題部の見方
一戸建ての登記事項証明書の場合、表題部は原則として1つですが、マンションには建物全体と専有部分、それぞれに表題部があります。
このうち、建物全体の表題部については、マンションの構造や敷地権の有無などを確認しておきます。
また、専有部分の表題部に関しては、床面積のほか、所有権か借地権かといった、権利の種類について確認が必要です。
マンションの登記簿謄本の見方|マンションにおける権利部の見方
権利部については、表題部のようにマンション特有の見方をする必要はありません。
その上で、甲区については、所有者が契約者と同じであるかどうかをチェックしておきます。
これは、所有者が契約者と異なることにより、確認事項が増えたり、最悪の場合詐欺の可能性も考慮しなければならなくなるからです。
一方、乙区については抵当権者が誰であるかや、抵当権の設定金額も確認するようにします。
また、乙区に記載がある場合、抵当権が問題なく外せるのか、そのための書類が整えられているかも確認しておかなくてはなりません。
このように、マンションは区分建物という性質上、一戸建てなどとは異なる登記事項証明書となっています。
また、登記事項証明書からわかることは、登記上の所有者名、住所、権利関係、建物新築年月日といった情報です。
登記事項証明書を確認する際は、登記上の所有者が本当の所有者なのか、権利について問題がないかなど、内容についてきちんと認識できるようにしておきましょう。