不動産の囲い込みと通報先を徹底解説をします。
所有している不動産を売却する場合は通常、専門業者である不動産会社に仲介してもらいます。
そして、売買を委任する媒介契約を締結し、売買が決まった場合は仲介手数料が支払いますが、その仲介手数料を目当てに不正の行われることがあります。
目次
業者が行う不動産の囲い込みの原因と通報
不動産売買の仲介でよく聞く言葉に「囲い込み」があります。
囲い込みというのは、売主から物件の売却を依頼された仲介業者が預かった物件を他業者に販売されてしまうことを妨害するため、他業者に物件の紹介をしない行為のことです。
依頼主にとっては機会損失ともいえるこのような行為を、仲介業者は日常的に行っています。
その理由は仲介手数料を増やすためです。
つまり、仲介業者は売主と買主の両者から仲介の依頼を受けて契約をまとめれば、両者から仲介手数料を受け取ることができます。
しかし、他社が買主を見つけてしまうと、仲介手数料が売主からしか得られなくなります。
このような不正行為に対しては、依頼主は公的機関に通報することができます。
不動産の囲い込みはレインズに確認してから通報
本来、依頼主から不動産売却の仲介を受けた不動産会社は、依頼主の利益を確保するために、国土交通大臣指定のデータベース指定流通機構(レインズ)に物件情報を登録し、不動産業界全体で情報を共有し、できるだけ早く買主が見つかるように努力しなければなりません。
売却の専任媒介契約を受けた不動産会社が故意に情報を隠し、また独占することは宅地建物取引業法で禁じられており、専任媒介契約をする際には「決められた期間内に」、「レインズへ登録する」ことが義務付けられています。
従って、レインズに依頼した不動産が登録されているかどうかで、囲い込みの事実が分かります。
囲い込みが判明すれば、その時点で通報します。
レインズにおける不動産の囲い込みとレインズへの通報
レインズは全ての不動産業者が物件を共有するためのデータベースであり、業者はレインズに登録することで、全国の物件情報を閲覧し、また掲載物件の取引ができるようになります。
業界全体で物件情報を共有することで、物件の早期取引の実現が図られ、不動産流通の円滑化と購入者の利益保護が確保できます。
実は、レインズに物件が登録されていたとしても、囲い込みの一種である「売り止め」が行われます。
例えば、他の業者が『貴社が扱っている物件を買いたい人がいます』と連絡したにも関わらず、仲介業者が事実に反し、『その物件はすでに契約の予定になっています』などと言って紹介を拒みます。
これでは、レインズに通報しても意味がありません。
不動産の囲い込みの防止と通報先
売却を依頼した物件は相場からいっても適正な価格であり、且つ立地環境にも恵まれているのになかなか売れないという時は、囲い込みが疑われます。
囲い込みを防ぐためには、以下の策を講じます。
1．仲介業者に「レインズに登録し、他業にも情報を提供する」、「他業者が当該物件を広告に掲載することを許可する」などを条件に契約します。
2．業者との媒介契約の締結後、しばらくしてからネット検索でもって依頼物件が複数の業者のサイトで広告されているか確認します。
仮に、囲い込みが判明した場合は、業者の不正を糺すために囲い込みを通報しますが、通報先はレインズや宅建協会など業者と関連する機関より、管轄する自治体の住宅関連部署が適しています。
業者にとって一番怖いのは自治体から下されるペナルティです。
不動産の囲い込みによるデメリットを業者に通報し、契約を解除
囲い込みが怖いのは競争が減ることで、売却価格が相場より下がることです。
例えば、他業者に紹介すれば5,000万円で売れたはずなのに、囲い込みによって仲介業者の見つけた買主に4,500万円で売却されるということが起きます。
他業者に紹介した場合に受け取れる仲介手数料は売主だけのため、5,000万円×3％＋6万円＝156万円になります。
しかし、買主の希望する4,500万円で売った場合は売主と買主の両方から手数料を取れるため、(4,500万円×3％＋6万円)×2＝282万円が獲得できます。
つまり、仲介業者にとっては、依頼主に物件の値下げを納得させてでも自社で見つけた買主に売った方が儲かるということです。
依頼主にとって囲い込みはデメリットでしかないため、業者にその旨を通報して契約解除をするのが得策です。
不動産の囲い込みを通報しなくても良い契約
不動産の媒介契約はいくつかの種類があり、仲介業者を1社に任せるのは専属専任媒介契約と専任媒介契約です。
この契約はレインズへの登録が義務となっているため、囲い込みの起きる可能性があります。
実は、媒介契約の中に複数の業者と契約を結べる一般媒介契約というものがあります。
複数の業者がいっぺんに販促を行うため、魅力のある不動産だと高い価格でもすぐに買主が見つかります。