普通借地権の付いたマンションのデメリットとは何でしょうか。
一般的に販売されているマンションを購入すると、土地と建物において区分所有権を取得します。
ところが最近、都心のマンションを中心に、定期借地権や普通借地権と書かれているマンションの広告を見ることがあります。
借地権付きのマンションにはメリットもデメリットもあります。
目次
普通借地権付きマンションのデメリット｜普通借地権付きマンションとは
借地権とは、第三者の土地を借りることで、その上に自己の建物を建てられる権利のことです。
借りている以上、自由に取扱える所有権とは異なり、使用する上でいくつかの制約を受けるというデメリットがあります。
例えば、借地人は地主の許可なく借地権を第三者に転貸・譲渡することはできません。
ただし、土地の上に建つ建物に関しては土地の賃貸借契約とは別物になります。
「借地権付きマンション」を購入した場合、建物については所有権を得られますが、土地は借地権になり、マンション購入者は借地人となります。
借地権の権利の取扱いなど土地や家を借りる時の法律は、借地借家法に規定に即します(平成4年8月以前のものは旧借地法が適用)。
普通借地権付きマンションのデメリット｜定期借地権マンションの違いとデメリット
借地権は権利の更新時の取扱いによって、普通借地権と定期借地権に分けられます。
- 普通借地権
普通借地権では、借地人が期間満了時に希望すれば契約を更新できます。
最初の契約では借地期間は30年とされ、1回目の更新で20年、2回目以降の更新では10年と存続期間が定められます。
- 定期借地権
借地権付きマンションで主に利用されているのは、一般定期借地権です。
一般定期借地権は契約期間が50年以上と定められており、契約当初に期限付きで土地の賃借を行い、期間満了後に土地の所有者に更地で戻すことが前提になります。
借地権付きマンションでは、建物の老朽化を想定し、50年や70年の期限が定められた定期借地権が多くなっています。
いずれにしても、マンションを購入する人にとっては、期限があるということは大きなデメリットです。
普通借地権付きマンションのデメリット｜維持費におけるデメリット
借地権付きマンションは土地は借りているため、土地部分の固定資産税や都市計画税の負担が無いというメリットがある反面、地代を支払わなければならないというデメリットがあります。
また、定期借地権では、地代の他に解体積立金がかかります。
新築マンションの場合、新築当初の管理費や修繕積立金などは低く設定されていますが、段階的に値上がりするケースが多くなっています。
なお、借地権付きマンションの購入に利用できる住宅ローンもありますが、残存期間による条件によってはローンを組めないことがあり、その場合は購入したくてもできなくなります。
また、権利更新時の手続きや建物の立替時など、土地所有者との権利関係で将来の予定が立てづらい面があります。
普通借地権付きマンションのデメリット｜借地権付きマンションのデメリット
借地権付きマンションのデメリットをまとめると以下になります。
- 将来的に、土地を返さなければならないことが起こり得ます。
- 地代の支払いが必要であり、さらに値上りすることもあります。
- 売却したい時に買い手が付きにくい面があります。
- 土地評価を担保にできないため、住宅ローンが組みにくくなります。
なお、定期借地権マンションの場合は上記に加えて、借地期間満了後は更地にして返却するため、建物を壊すための解体積立金を取られます。
一方、借地権付きマンションのメリットは、通常マンションに比べて価格が安いことと、土地に対する固定資産税や都市計画税を負担しなくて良いことです。
普通借地権付きマンションのデメリット｜普通・定期借地権付きマンションの違い
普通借地権と定期借地権の最も大きな違いは、普通借地権は借地契約期間が満了した場合でも更新が可能なのに対し、定期借地権は借地契約期間の満了と同時に確定的に契約が終了するということです。
過去、普通借地権は地主に更新拒絶のための「正当事由」が無い限り、契約の更新が続くことになっていました。
そして、売主の更新拒絶理由に対しては、なかなか正当と認められないのが実態でした。
そのため、地主は半永久的に土地を取り戻せないというデメリットを抱えていました。
これではあまりにも借地権者の保護が強すぎるということでできたのが、必ず契約が解除される定期借地権です。
当然建っているマンションも解体されます。
普通借地権付きマンションのデメリット｜購入におけるメリットとデメリット
借地権付きマンションは何といっても価格が安いのが大きなメリットです。
同等の通常マンションと比べると、30～40％も安くなっています。
また、都心のマンションに借地権付きマンションが多いため、内装や間取りにオシャレな物件が多くなっています。
ただ、条件はどうあれ、定期という縛りのあることがデメリットになっており、購入における大きな足かせになっています。