マンションの躯体にビスを打つことの是非について紹介をします。
マンションのリフォーム工事が人気を集めています。
古いマンションに新しい価値を与えるリフォームですが工事手法が問題になるケースが増えています。
中でも心配なのがマンション躯体へのビス打ちです。
マンションの骨組に当たる躯体にビスを打っても安全性に影響はないのでしょうか?
目次
マンションの躯体へのビス打ちとは
マンションの躯体へのビス打ちとは、マンションの構造を支える躯体部分に穴を開けてネジ止めする工事のことです。
木材へのビス打ちは人力でも可能ですが、硬いマンションのコンクリート躯体にビスを打つには専用のドリルが用いられます。
躯体とは建物の構造を支える役割を持つ部分のことです。
柱や梁など建物の重量を支える役割を担う躯体は安全性に関わる構造部分であり、間仕切りのための壁とは構造としての重要性が全く異なります。
躯体に問題が生じればマンション全体の安全性にも影響が及ぶ可能性が高く、リフォーム工事においても慎重な対応が求められます。
マンションの躯体へビスを打つことの安全性
マンションの躯体へのビス打ちは安全性が懸念される行為です。
マンションの躯体は建物全体の重量計算をした上で必要な大きさや厚みが取られています。
躯体にビスを打ち込む行為は建物の構造を弱める行為であり小さなビス穴であっても深刻な安全性の低下を招きかねません。
コンクリートというのは耐久性は高いものの小さな傷からも崩壊する可能性があるもろさを抱えている建材です。
躯体にあけた小さなビス穴であっても歪みが生じれば重量が一点に集中してヒビ割れが発生する危険があります。
問題なのはビス穴のサイズではなくそれによって躯体に生じる歪みです。
小さな穴だから大丈夫、などと安易に考えるのは非常に危険です。
なぜマンションの躯体へビスを打つのか
なぜリフォーム業者は安易にマンションの躯体にビスを打つのでしょうか?理由のひとつは小さなビス穴程度なら問題ないと考える安易な姿勢です。
多くのマンションでは躯体構造に余裕を持って設計されています。
マンションの構造設計においては建物をを支えるのに十分な強度を確保した上である程度余裕を持たせたサイズで躯体を作ります。
そのため多少のビス穴程度ならマンションの強度に影響を及ぼさないのは事実です。
しかし、躯体に余裕を持たせてあるのは万一の事態に備えるためでありビス穴を開けるためではありません。
ビス打ちを前提にした設計ではない以上ビス穴を開けることは許されず、安全性も担保されません。
安易にビス穴を開けるような行為は信頼に欠けます。
マンション躯体へのビス打ちは規約で禁止されている
ほとんどのマンションではマンションの安全性を損なう可能性があるマンション躯体へのビス打ちを規約で禁止しています。
仮に安全性に影響しなかったとしても規約違反の工事を行うのは問題です。
リフォーム工事そのものは認められていてもビス打ちは規約違反、というマンションがほとんどなのでリフォームを実施する場合は工事プランをチェックしビス打ちが行われないよう業者に求めるのが施主としての責任です。
ルール違反のビス打ちを行っていたことが発覚した場合、管理組合から修復工事の費用や損害賠償を請求される可能性があります。
小さなビス穴でもマンション全体の安全に関わると判断されれば莫大な金額になる恐れもあります。
マンション躯体へのビス打ちを回避する
マンション躯体へのビス打ちを回避するにはリフォーム業者とのしっかりした話し合いが欠かせません。
構造に影響しないコンクリート壁であればビス打ちをしても問題ないので、工事前にマンションの構造をチェックし躯体部分に抵触しないか確認を忘れないで下さい。
工法を工夫したり設置場所を変えるためにデザインを変更したりといったビス打ちを回避する方法はいくつもあります。
費用や時間はかかってしまいますが安全面を考えれば必要な支出です。
プランを実現するのにどうしても躯体へのビス打ちが必要な場合は、リフォームそのものを諦めるしかありません。
マンション躯体へのビス打ちは危険な行為
マンション躯体へのビス打ちは危険な行為は建物全体の安全に関わる危険な行為です。
たった一つの小さなビス穴によってマンションの価値が大暴落する可能性は大げさな話ではありません。
マンションのような巨大な建築物ほど小さな歪みが大きな問題になりやすいものです。
自分勝手な理由でマンション躯体へビスを打つような行為は厳禁です。