不動産契約の内容を変更する時の覚書とその書式について紹介をします。
不動産のような高額な物の売却では、何か変更があった時の対応や契約における基本ルールなど、売主と買主の双方が合意した約束事が非常に重要になります。
それを記載してある書類が「覚書」です。
覚書が無いために、トラブルの生じることが少なくありません。
目次
不動産売買における覚書の書式で重要なこと
覚書は売主と買主の同意によって作成されるものであるため、双方が内容に承諾していることが前提になります。
そのために両者の署名がなされており、トラブルが起こった際の証拠として扱われることで、安全でスピーディな取引が可能になります。
なお、覚書には「AがBに対し、○○の責任を負う」というような、お互いの権利関係の内容を記載してしておくことが最も重要になります。
その他、以下などのことを覚書で取り決めておきます。
- 代金の支払い方法、支払期限
- 土地境界や接する道路についての確認
- 手付金預かりの処理
- 委任に関すること
また、契約内容に変更が生じた場合は、必ずその内容と理由を明記した覚書を交わします。
不動産売買における覚書の書式項目の効力
覚書の最も重要な要素が拘束力です。
不動産売買には画一的な判断基準というものがそもそもありません。
つまり、不動産の立地や規模、金額、条件がそれぞれ異なるため、統一ルールを決めても、それにそぐわない場合が多々出てきます。
従って、当事者でルールを決めることが慣習として行われています。
ただ、そこで問題の残るのが、定めたはずのルールに拘束力があるかどうかです。
片方が『口約束にすぎない』と主張したのでは、ルールが水泡に帰します。
そこで、覚書にしたためることで法的な拘束力を持たせます。
不動産売買で詐害があると莫大な損害が発生するため、覚書の拘束力が必須となります。
不動産売買における覚書の書式の内容
不動産売買において、覚書に記載する内容は当事者同士で決定します。
ただ、実際には不動産業者が独自に覚書に記載する項目を定めており、それに沿って適宜変更していくのが一般的です。
また、記載項目に関しては、不動産事業者などの間で無料で提供されているものをWEB上で参照することもできます。
ただ、覚書の内容に関しては、不動産売買の環境や条件などによって不動産業者が設けている項目では網羅できない部分も出てきます。
特に、契約内容の変更に関しては、買主と売主が十分に話し合いをした上で、双方合意の下に覚書の内容を決定する必要があります。
不動産売買における覚書の書式の作成方法
覚書の書式に関しては、法的な定めがあるわけではありません。
あくまでも、当事者の合意内容が記載されているものが覚書であり、覚書の書式は契約書とほとんど変わりません。
ただ、基本的なフォーマットは各不動産業者が独自のものを所有しています。
また、WEB上からダウンロードすることもできます。
覚書で大事なことは、文頭に「甲と乙が以下の事項に関して合意した」という一文を入れることです。
この一文のあることで覚書の効力が生じます。
次に、「本覚書を2通作成し、甲乙署名捺印の上、各々1通を所持する」という一文を文末に入れて、日付、当事者両者の署名捺印をするのが一般的です。
不動産売買における覚書の書式と念書の違い
不動産売買には「念書」というものが使われるケースもあります。
念書は片方が一方的に約束をする時に使われるものであるため、念書には一方の署名しかありません。
片方が一方的に相手方に依頼したいことがある時に作成するのが念書であり、相手方が認める場合はサインをして承認となります。
例えば、「引越しが5月末日に決まったので、20日までに引き渡しを完了したい」、「工事代金の支払い期限を1ヶ月延ばして欲しい」など、契約をした片方に依頼事項がある時に念書が作成されます。
ただ、念書は両者の署名・捺印があるわけではないので、証明能力としての効力は少し落ちます。
不動産売買における覚書の書式の重要性
不動産の売買というのは一般市民にとっては一生を左右するものといっても過言ではありません。
従って、後で後悔しないようにするには、不安なことを全て覚書に記載しておくことが最善の策と言えます。
覚書には法的な証拠能力が高いため、いざという時には大きな効果を発揮します。
法律上では口約束も契約として認められますが、その約束を証明できなければ何の意味もありません。