マンションのスラブ厚の調べ方が気になる方、またはマンション購入の際にスラブ厚って言葉を初めて聞いたのだけれども何の事?と言う方も多いのではないでしょうか。
スラブという言葉は建築用語で、普段の生活では全くと言って良いほど使う事のない言葉ですが、マンションを選ぶ際には是非とも覚えておきたい重要な言葉の一つとなっています。
そこで今回は、マンションのスラブについての説明や役割、スラブ厚の調べ方などを中心に、マンションに於けるスラブ厚について解説をしていきます。
目次
マンションのスラブ厚の調べ方と重要性|マンションのスラブとは?
マンションを購入する際、あまり聞き慣れない言葉の中にスラブという言葉がありますが、日常生活で耳にする事は殆ど無い単語で何のことなのか分からない方も多いと思います。
スラブとは鉄筋コンクリートで造られた建造物やマンション構造の一部を示す言葉で、上層階と下層階の仕切り的な役割を果たしており、主に天井部分と床部分のコンクリート部の事をスラブと言い、このスラブの厚さの事を「スラブ厚」と呼んでいます。
このスラブはマンション毎に厚みが異なっていて、一定以上の基準をクリアしていれば厚くても薄くても良い事が建築基準法で決まっており、戸建てや木造建築物に於ける梁と同じ役割を果たしています。
一般的なマンションに於いては、1階以上の全ての部屋にこのスラブがありますが1階の居住部については地下層のあるマンションを除いて構造上必要が無いために、床部のスラブが省かれる傾向にあります。
マンションのスラブ厚の調べ方と重要性|スラブ厚の重要性
マンションに於けるスラブの厚さは居住をする上で重要な役割を担っており、スラブの厚みで建造物やマンションその物の価値が決まるとまで言われる程です。
スラブは戸建てに使用される木製や鉄製の梁と異なり、優れた遮音・防音性と居住性を持っているコンクリート構造となっている為、スラブ厚が厚ければ厚いほど遮音性の高い静かな部屋と言う事になります。
マンションなどの集合住宅に居住する上で一度は経験する、上層階からの不快な騒音と言う問題がありますがスラブの厚いマンションを選べば、上層階からの騒音が減り、快適に居住ができると言う事でもあります。
そのため、静かに暮らしたい方や仕事の都合で夜間に活動することの多いご家庭では、マンション入居時にスラブ厚を重視することが大切なのです。
マンションのスラブ厚の調べ方と重要性|標準的なスラブ厚はどのくらいなのか?
スラブの厚さはマンションの遮音性高める上で重要な役割を果たしていますが、標準的にはどれくらいの厚みなのかと言う疑問が沸いてきます。
現代で建築されている多くの標準的なマンションのスラブ厚は床の構造によっても異なりますが150mm~200mm程度が標準的な厚さとなっている事が多く、このスラブの上にクッション材や防音ゴムを使ったシステムフロアを乗せ、床材であるフローリング材や和室の場合には畳が敷かれています。
標準よりもスラブ厚が厚めに設計されているマンションでは220mm~250mm程度のスラブ厚となり、防音を重視した設計のマンションになると公民館や図書館などの公共機関と同レベルの270mm~300mmと言うスラブ厚のマンションまで登場しており、防音・遮音を重視する度合いによってスラブの厚みに違いが出てきます。
マンションのスラブ厚の調べ方と重要性|スラブが薄いとどうなる?
現代のマンションでは150mm~200mm程度が標準的なスラブ厚となっていますが、このスラブ厚が薄いとどの様なことが起こるのでしょうか。
戸建ての様に梁の太さを細くしたからと言って、床が抜けてしまったり上階で誰かが歩くと天井が軋むなどと言うことはありませんが、スラブ厚が薄くなると言う事は単純に遮音性や防音性の効果が低くなるため、必然的に天井部から上層階の騒音が部屋に届きやすい状態となり、酷い場合には大人が歩く足音やキッチンで包丁やまな板を使用する音までもが居住している部屋に届いてしまう事があります。
それに加えて、居住している部屋の騒音も下層階へ伝わりやすくなってしまうため、力の加減が難しい小さなお子さんの居るご家庭やピアノなどの楽器があるご家庭では、特に下層階へ騒音を出さないように気を遣わなければならず、場合によっては上下階とのトラブルに繋がってしまう恐れがあります。
そのため、スラブに直接クッション材やフローリング材を敷く設計の場合には180mm以上のスラブ厚が、スラブの上にシステムフロアを乗せその上にフローリング材などを敷く設計の場合は150mm以上のスラブ厚が必要とされており、スラブ厚がこれら以下の場合には騒音が発生しやすくなるため注意が必要となってきます。
マンションのスラブ厚の調べ方と重要性|スラブ厚はどうやって調べるのか?
スラブ厚はマンションに居住するにあたって遮音や防音を大きく左右する重要性の高いものですが、現在住んでいる部屋やこれから居住を検討しているマンションのスラブ厚を調べるにはどうしたら良いのでしょうか。
マンションは鉄筋コンクリートで造られる建造物なので、戸建ての様に押入などにある天袋から梁の太さを確認する事はできませんし、不動産屋さんに掲示してある物件情報も殆どの場合で間取りや設備などの情報しか載せていない事が多く、スラブ厚に関する情報は殆ど目にする機会が無いのが現状ですが、そんな場合には、まずマンションの管理組合や管理人さんにスラブ厚について質問を行うと良いでしょう。
マンションの管理組合や管理人は、平成13年に法改正が行われた「マンション管理適正化法」という法律によって、竣工図と呼ばれるマンションが造られた時の様々な図面を保管するように義務付けられています。
そのため竣工図の一つである「意匠図」や「構造図」には、必ずスラブ厚などの外から調べる事の出来ない具体的な数字が記載されているのです。
竣工図の一部が破損している場合や、スラブ厚の記載が確認し辛い場合には、マンションを建設した会社(施主)や販売会社に問い合わせてもスラブ厚を確認する事が可能です。
建設中のマンションの場合には、配布されているパンフレットや販売会社のウェブサイトからもスラブ厚についての情報を手に入れる事が可能です。
マンションのスラブ厚の調べ方と重要性|まとめ
今回は、マンションのスラブについての説明や役割、スラブ厚の調べ方などを中心に、マンションに於けるスラブ厚について解説をしてきましたが、スラブ厚は上階から来る騒音と下階へ出す騒音を大きく左右する重要な役割を担っており、気持ちよく居住する上で拘りたい項目の一つでもあります。
マンションの構造やフローリング材の設置方法によってスラブ厚や施工方法は異なりますが、竣工図を見ればスラブ厚の具体的な数値やフローリング材の設置方法を調べる事が出来るため、トラブルを避けると言う観点からも入居を決める前に竣工図を日本語拝見し、騒音に対しての理解を深めておくことをおすすめします。