マンションの重要事項説明書とはどのようなものなのでしょうか。
宅地建物取引業法では、売買契約を締結する際には不動産会社は、購入予定者に購入物件にかかわる重要事項の説明をしなければならないと定めているため、宅地建物取引士によって記名押印された書面が交付され、口頭で説明が行われます。
重要事項説明書には専門的な内容も多く記載されていることから一見難解ですが、最低限チェックが必要な項目は理解しておかなければなりません。
目次
マンションの重要事項説明書の記載事項
重要事項説明書の内容は大まかに
- 「対象物件に関する事項」
- 「取引条件に関する事項」
- 「備考・容認事項」
の3つとなります。
マンション売買をはじめとした不動産取引においては、法律用語や不動産用語が多く、法律や建築の経験がないと理解が難しいため、重要事項説明に際し、買主が理解しやすいように有資格者である宅地建物取引士による説明が行われます。
マンションの重要事項説明書の記載内容
次に、重要事項説明書の具体的な内容は以下のようになっています。
- 不動産会社
- 取引対象
- 建築基準法など
- 道路
- インフラ供給状況
- 宅地造成または工事完了時における形状・構造など
- 住宅性能評価、石綿使用調査、耐震診断
- マンション管理の内容
- 代金・契約条件
- 契約解除の条件
- 瑕疵担保責任
これらについて基本的にはすべて理解することが困難ですが、最低限のポイントは抑えておく必要があります。
マンションの重要事項説明書のチェック項目①マンション敷地に関する権利
分譲マンションの場合、一般的には、マンションの住人がその土地の所有権を共同で保有していますが、中には借地にマンションを建てているケースもあります。
この場合、土地の権利は「地上権」や「借地権」となり、これに関して地主と取り決めがあるはずです。
このため、土地の権利の内容について把握したうえで売買契約を進める必要があります。
マンションの重要事項説明書のチェック項目②さまざまな規約
建物を共有しているマンションでは、建物ごとにさまざまな規約が設けられています。
重要事項説明書ではそれらの内容もチェックしておきましょう。
共有部分の規約
マンションではそれぞれの世帯が所有する「専有部分」と、マンション全体で所有し管理している「共有部分」があります。
主な場所はエレベーターや玄関ホール、駐車場などですが、共有部分にはマンションごとのさまざまなルールがあるため、重要事項説明書にどのように記載されているかきちんと把握しておかなければなりません。
専有部分の規約
専有部分とは、所有者が生活をしている部分のことで、部屋の模様替えのような軽微な変更は問題ありません。
しかし、リフォーム工事のような大掛かりなものになると、管理組合の許可が必要な場合があるため、事前に重要事項説明書で確認しておきましょう。
修繕積立金の規約
長期にわたりマンションを維持していくためには修繕積立金が欠かせません。
しかし、マンションによっては修繕計画がずさんなケースもあります。
また、きちんと計画されていても、修繕積立金の値上げが予定されていたり、中古物件の場合、以前の所有者が支払いを滞納していた場合には購入した買主に支払い義務が引き継がれてしまいます。
このため、これらの点について事前のチェックが必要です。
マンションの重要事項説明書のチェック項目③その他の項目
ここまでの点以外にも、重要事項説明書において見落としがちな項目には以下のようなものが考えられます。
管理会社の確認
マンションの管理の多くは委託を受けた管理業者が行っています。
事前にどのような業務内容などをチェックし、適正な管理が行われているかなどをチェックしておきましょう。
契約の解除
マンションの売買では、いったん契約が成立すると破棄するのは容易ではありません。
特に買主の都合によるものである場合には契約内容に金銭的な罰則が設けられているため、その詳細や契約解除できる期限などを確認しておく必要があります。
瑕疵担保責任
マンションの売買では契約成立後、隠れた欠陥、つまり「瑕疵」があった場合には売主は損害賠償に応じる義務があり、これが原因で物件の引き渡しなど契約の目的を達せられないときには買主は契約の解除をすることができます。
これを「瑕疵担保責任」といいますが、重要事項説明書では、瑕疵担保の内容や適用期限についても確認しておきましょう。
また、2020年以降はこの項目が「契約不適合責任」に変更され、売主の責任や義務はさらに厳しくなります。
住宅ローン特約
住宅ローンを利用してマンションを購入する場合、通常は契約に「住宅ローン特約」が付加されています。
住宅ローン特約とは買主が住宅ローンの借り入れをできなかった場合、違約金などを負担をすることなく、手付金も返還され、無条件で契約を解除することができる約定です。
ただしこの内容は売主と買主の話し合いによって変更が可能なので、重要事項説明書で当事者にとって不利な内容がないかなどをチェックしておく必要があります。
マンションの売買におけるトラブルで多いのが契約書や重要事項説明書に記載内容をきちんと理解しないで契約してしまうものです。
ただし、現実的には専門知識を持っていないとすべて理解するのは困難なため、ここまでのようなチェック項目はきちんと理解し、宅地建物取引士の説明が分かりにくい場合には、納得がいくまで説明を求めることが大切です。