マンションの取り壊しで所有権はどうなるのでしょう?マンションの老朽化で建て直しや解体に直面することがあるかもしれません。
そうなった場合マンションの所有権はどうなるのでしょうか?マンションを取り壊しや建て替えでかかる費用やプロセスについてまとめました。
目次
マンションの取り壊しで所有権|マンションの寿命ってどれくらい?
マンションの寿命というのは建物の構造によっても様々で、決まった年数を定めることは難しいのが現状です。
日本がマンション建築の空前のブームを迎えたのは昭和40年代後半で、その時期から推測すると半世紀を超える物件は少ないと言ってよいでしょう。
国土交通省の発表によると、2013年までに建て替えを行ったマンションは全国で300棟足らず。
これらの物件は築30年から40年が経過していました。
物理的に不便を要するエレベーターのない5階以上のマンションやコンクリート外壁の劣化、あるいは電気配線などの修理などによる建て替えを行う物件もあり、マンションの寿命は個々のケースによって判断が必要となるでしょう。
マンションの取り壊しで所有権|建て替えるための条件とは?
マンションを建て替えるためには、区分所有者である住民の同意が必要です。
集合住宅のマンションでは建物の修理、建て替え、解体を進めるためにはいずれにしても、住民の4/5の賛成を得られなければ実行できません。
建物を修理、建て替え、解体するとなると、一般的に管理費として回収される積立金からだけでは補えない場合がほとんどですので住民の負担が増えることは覚悟しなくてはなりません。
そういった場合、区分所有者の個人負担として分担することにもなりかねませんので、この場合4/5以上の住民が全て賛成するかどうかは、不明であることは否めないでしょう。
マンションの取り壊しで所有権|建て替えする場合のプロセスは?
マンションを建て替えする場合のプロセスについて見てみましょう。
- 耐震性の判断や専門家の検査などから、理事会、管理事務所、幹部住民などによって建て替えの検討を始める必要があります。
- 建物の状態や見積もりなどの資料を基に、住民全体に情報がわたり話し合いが持てるよう理事会の議会に議題としてあげます。
- 住人から建て替えを進める合意を得ることができれば、改めて資金や建設会社などの詳細の見積もりを準備します。
- この計画を議会に提出し、理事会会議で4/5以上の賛成が得られた場合は建て替えが執行されます。
- 建て替えのための新しい組合、もしくは理事会においてチームを結成し、建て替え不参加の住民への権利売渡請求、および住戸の選出などに着手していきます。
※建て替え代金を払えない、建て替えに反対の住民は、買い取り請求で持ち分を買い取ってもらい、これまでに支払った修繕費を回収することができます。
回収処理が済んだら、マンションを引き払います。 - 住民の仮住まいへの転居が完了した後、取り壊し工事着工。
- 建て替え後、新たな新居で生活を始めることができます。
マンションの取り壊しで所有権|建て替えの際の住民の金銭負担は?
マンション全体を建て替えるとなると、貯蓄しているであろう修繕費では全て補うことはできません。
マンションの規模や住戸数にもよりますが、平均的60m?のマンションで約1000万~2000万の負担金が発生するといわれています。
またマンション建て替え中の仮住まいの費用は自己負担となりますので、工事の時間が長引けばそれだけ出費も大きくなります。
建て替えが必要なマンションのオーナーは、30年もしくは40年住まいがあるということなので、住民の年齢が高齢であることはゆうに想像がつきます。
定年して老後をおくる高年齢の住民にとっては、建て替えのための多額の出費はそう簡単に捻出できるものではありません。
老朽化が進んだ建物が放置されてしまう原因がここに潜んでいるといっても過言ではないでしょう。
マンションの取り壊しで所有権|建て替えを行わない場合どんなオプションがある?
老朽化の進んだマンションの建て替えは金銭的にかなり負担が大きく、実際に施行できるケースが少ないのが現状です。
では、あなたの住んでいるマンションの建て替えが行うことができなかったら、住民にはどんなオプションがあるのでしょうか?平成26年に制定された「マンション建て替え円滑化法」の改正によって、旧耐震基準によって建築されている老朽化建築物件は、住民の4/5の賛成を持って土地と建物を売却できることになったのです。
売却後は区分者数で金額を割り、住民に分配されます。
マンション1棟を売却することもできず、修繕も難しいという事であれば、現在のマンションを売却し、新しいマンションを購入、居住するという方法をとることでマンション建て替えの悩みを抱えなくて済むようになります。
マンションの取り壊しで所有権|建て替えで起こる所有権の問題を回避する方法は?
マンションは戸建てと異なり、管理費用でメンテナンスを任せることができ、非常に利便性を持った住まいと言えます。
しかし建物が老朽化すれば、修繕、建て替え、解体など個人負担となる費用がかさむことも考慮に入れなくてはなりません。
マンション住まいは住み替えを上手にすることで、建て替えの所有権問題に直面することなく住むことができます。
30代でマンションを購入したなら、価値が半分になるという20年をめどに住み替えを検討しましょう。
マンションの価値は下がりますが、築年数の浅いマンションの買い替えによってローンが完済できる期間内に住み替えを行うことが賢明でしょう。