青色申告特別控除を受けるにあたり、不動産と事業で両方所得がある場合はどうなるのでしょうか。
確定申告には白色申告と青色申告の二つがありますが、不動産や事業などを営んでいるのなら、節税のために青色申告特別控除を受けたいところです。
ここでは、不動産所得と事業所得が両方ある場合について解説していきます。
目次
青色申告特別控除を受けるとき不動産と事業で両方所得がある場合|合計額から控除
青色申告をするには、青色申告承認申請書を前年の確定申告期間までに提出しておく必要があります。
開業したての場合でも、開業から2か月以内なら大丈夫です。
そして当年に申告する際、複数の要件を満たせば65万円分の控除を受けられ、要件を満たせなければ10万円の控除となります。
不動産と事業で両方所得がある場合でも同様です。
65万円または10万円の青色申告特別控除を、不動産所得と事業所得の合計額から控除することになります。
控除する順番は、最初に不動産所得、次に事業所得です。
10万円控除の場合に限り、山林所得が最後に加わります。
青色申告特別控除を受けるとき不動産と事業で両方所得がある場合|赤字の場合
所得の合計額が65万円以下だった場合、65万円の青色申告特別控除だとしたら、控除されるのは合計額が限度です。
これ以上、控除されようがないので当然といえますが、不動産と事業のうち片方が赤字だった場合はどうなるでしょうか。
赤字に関しては無いものとして計算します。
つまり、その所得は0ということになります。
例えば、不動産所得が50万円の赤字、事業所得が100万円の黒字だとして、合計額の50万円から65万円の青色申告特別控除で0円に、ということにはなりません。
赤字は無いものとして計算し、黒字の100万円から控除して35万円ということになります。
尚、65万円の青色申告特別控除の要件に、不動産所得が事業的規模である必要がありますが事業所得を有しているなら、業務的規模でも要件を満たせます。
それは、事業所得が赤字であっても変わりません。
青色申告特別控除を受けるとき不動産と事業で両方所得がある場合|控除を受ける要件1
青色申告特別控除には10万円と65万円とありますが、65万円の控除を受けるには複数の要件を満たす必要があります。
青色申告の対象になるには、所得の種類が事業所得、不動産所得、山林所得であればいいのですが、65万円の控除の場合、山林所得のみでは認められません。
事業所得か不動産所得がある事業を営んでいることが要件です。
そして、先ほどでも挙げましたが、不動産所得の場合は業務的規模だと認められず、事業的規模である必要があります。
アパートなら10室以上貸与可能、家屋なら5棟以上貸与可能、などで事業的規模となります。
青色申告特別控除を受けるとき不動産と事業で両方所得がある場合|控除を受ける要件2
65万円の青色申告特別控除を受けるにあたり、所得の種類だけでなく、記帳方法にも決まりがあります。
記帳方法には単式簿記と複式簿記があり、要件を満たすには複式簿記が必要です。
複式簿記は単式簿記と違い、複数の科目を用いて詳細に仕訳をしていくので、単式簿記よりも複雑になります。
しかし、そこまで難しいものではなく、会計ソフトなどを活用することでスムーズに作成できるでしょう。
簿記は現金主義ではなく発生主義を用いるのが基本となります。
現金主義は現金の動きがあったときに仕訳をするのですが、発生主義は現金の動きではなく、取引が発生したときに記帳する方法です。
青色申告で65万円の控除を受けるには、発生主義で帳簿に記入していく必要があるので注意しましょう。
青色申告特別控除を受けるとき不動産と事業で両方所得がある場合|控除を受ける要件3
青色申告における特典である、65万円の青色申告特別控除に必要な要件も残るは二つ。
一つは、確定申告をする際に損益計算書と貸借対照表を添付することです。
損益計算書と貸借対照表を複式簿記に基づき作成したら、確定申告時に添付して、青色申告特別控除を受けることになる金額を記入します。
二つめ、つまり最後の要件は、法定期限を守るという単純なものとなります。
確定申告期間の3月15日までに必要な要件を満たしたうえで申告すれば、65万円の青色申告特別控除を受けることができ、要件を満たせない場合でも10万円の控除を受けられます。
尚、土日の場合は翌日の月曜日が法定期限です。
青色申告特別控除を受けるとき不動産と事業で両方所得がある場合|まとめ
不動産所得と事業所得の両方がある場合でも、青色申告特別控除を受けるのに難しいことはありません。
赤字は無いものとして合計額から、不動産所得、事業所得、山林所得(10万円の場合)と順番に控除され、事業所得を有しているなら不動産所得が業務的規模でも65万円の控除が可能。
所得の種類は大丈夫なので、あとは複式簿記での発生主義による記帳、損益計算書と貸借対照表の添付、そして法廷期限を守れば青色申告特別控除を受けることができます。