自宅でサロンを開業したいけれど、マンションでの場合許可はどうすればいいのでしょうか?
大家さんや他の居住者の許可は必要なのか疑問に思っている方も多いのではないでしょうか
開業後に大きなトラブルを発生させないためにも、開業する前に最低限の知識やルールを身につけておくことは非常に大切な事でもあります。
そこで今回は、マンションで自宅サロンを開業する場合に必要な許可や開業するにあたっての注意点などを中心に、自宅サロンについて解説をしていきます。
目次
自宅サロンのマンション許可|自宅サロンとは?
昨今、自宅サロンという言葉を耳にする事が多いと思いますが、実際に自宅サロンとはどの様な事を指すのでしょうか。
元々サロンという単語には、応接室や会話を楽しむ部屋という意味があり邸宅を中心とした家などを社交の場として使う事をサロンと呼んでいました。
日本においては、会話を楽しみながらサービスを提供する店舗にサロンと言う単語が使用されることが多く、美容院、エステティック、ネイルケアなど行う店舗にこの単語が多く使われています。
2000年代前半からは、元々興味のあったことや趣味を活かして自宅で教室などを開催する事が流行り出し、自宅で会話を楽しみながらサービスを提供する事から「自宅サロン」という言葉が生まれ、女性誌でも手軽に始められる事業として大きな話題となりました。
現在ではネイルやエステティック、フラワーアレンジメントやハンドメイドアクセサリー制作など、マンション等の自宅を利用して開業するスタイルの総称を自宅サロンと呼んでいます。
自宅サロンのマンション許可|開業する場合には大家さんの許可が不可欠
自宅サロンは、新たにビルや店舗を借りることなく自宅を店舗にして開業するスタイルの仕事場ですが、マンションなどの賃貸物件で自宅サロンを開業する場合には、必ず貸し主である大家さんの許可を得る必要があります。
借りている部屋をどの様に使おうと、家賃を支払っているのだから文句を言われる筋合いや、わざわざ許可を得る必要は無いと考える方もいらっしゃると思いますが、そうではありません。
一般的にマンションなどの賃貸物件を借りる場合は、人が生活・居住すると言う名目で賃貸借契約が行われます。
その為、物件の契約時に自宅サロンを開業する名目を伝えていない場合や、物件の契約後に自宅サロンを大家さんの許可無く開業し営業を行う事は物件の賃貸借契約の契約違反に相当し、営業の差し止めや退居にあたる賃貸契約の解除が行われる可能性があるため、自宅サロンを開業する場合や開業する予定のある借主は、トラブルを未然に防ぐという観点からも必ず大家さんの許可を得る必要があるのです。
また、開業したいサロンの業種によっては床材や壁紙などの張り替え、消防法、建築基準法に則った大規模な部屋の改造が必要になる場合もあるため、この点からも大家さんの許可は不可欠であると言えます。
自宅サロンのマンション許可|開業目的で部屋を借りる場合の注意点
新たに店舗や事務所を構える必要が無く、大家さんの許可が得られれば手軽に起業が行える自宅サロンですが、大家さんの許可を得て商売などの営利目的を理由に物件の賃貸借契約を行った場合には、居住を目的として物件契約を行うのとは異なる契約事項が出てくるため注意をしなければなりません。
一般的な生活・居住を名目としたマンションやアパートの賃貸借契約は、家賃や共益費と呼ばれる通路や階段部分の街灯、エレベーターに掛かる電気代などマンションに居住する全ての人が利用する共用設備を利用・保守するための費用を大家さんへ支払います。
この家賃や共益費は居住を名目とした物件契約の場合、非課税対象となり消費税などの税金を収める必要はありませんが、自宅サロンなど営利目的で物件契約を結んだ場合には課税対象となり、家賃や共益費に消費税などの税金が掛かる仕組みとなっているため納税を行う義務が発生します。
つまり生活・居住目的で物件契約を行ったのにも関わらず、営利目的で事務所や自宅サロンなど開業してしまうと脱税や詐欺行為を行っているのと同じ事になってしまい、警察や税務署からの調査対象となってしまうことがあるため、自宅サロンを開業する際には必ず営利目的での物件契約を結ぶまたは、結び直す必要があります。
自宅サロンのマンション許可|他の居住者への配慮を怠らない
自宅サロンは大家さんの許可があり営利目的での物件契約を行えば、賃貸マンションなどの集合住宅でも手軽に開業することができますが、許可が下り自宅サロンを開業した後もサロン管理者は周囲に住む居住者への配慮を怠ってはいけません。
特に人の出入りが多い自宅サロンでは、ドアの開け閉めが頻繁に行われる事や歩く音が響きやすくなるなど、サロンの上下階や両隣に対して騒音を減らす配慮を行わなければなりません。
また、マンション居住者以外の人間が頻繁にマンション内に出入りすることもあり、セキュリティ面でも他の居住者への配慮や対策を行う必要があります。
もし、これらが原因となり他の居住者との間でトラブルが発生した場合には、自宅サロンの営業許可の取り消しやマンションからの退居を求められる場合があり、せっかく開業したサロンを手放さなければならない事態に発展する場合もあるため、開業後も周囲への配慮を怠らないことが大切です。
自宅サロンのマンション許可|消防法上の問題は?
自宅サロンは賃貸物件の場合、大家さんから許可が下りれば特に問題なく営業に向けた準備を開始することが可能ですが、1点だけ注意すべき事があります。
それは消防法に則った部屋になっているかという問題です。
一般的な住居用マンションを自宅サロンとして開業するためには、サロンを開業する前に管轄する消防署へ「防火対象物使用開始届出書」と言う書類を必ず提出しなければならず、開業するサロンの業種によっては「防火対象物工事等計画届出書」という書類も必要になってきます。
これは、不特定多数の人がサロンを利用するため、万が一火災が発生した場合には大きな被害が出る恐れがあるため、その場合はどの様な対応をとるか火災が起きても延焼を防ぐ内装になっているかなどを調査するために提出します。
また、マンションは大半の場合で住居用として建てられているため、一般の店舗型サロンと同様に消防法上で必要となる非常口の案内や消火器の設置、スプリンクラーの有無や煙を充満させないための間仕切りなどが設置されておらず、設備要件をクリアできないことやマンションその物の構造によって条件をクリアできない場合もありますので、事前に消防署へ確認をしなければなりません。
場合によっては、内装などに使用される材質や部屋のレイアウトを消防法に基づいて大きく変更する必要も出てきます。
自宅サロンのマンション許可|自宅サロン まとめ
今回は、マンションで自宅サロンを開業する場合に必要な許可や開業するにあたっての注意点などを中心に、自宅サロンについて解説をしてきました。
大家さんへの許可申請は自宅サロンを始める第1歩でもあり、税金問題も絡んでくるため非常に大切な作業であることが分かります。
開業にあたっては、部屋の内装などを大幅に変更しなくてはならない場合もあるため、大家さんの許可はこの点でも不可欠と言えます。
せっかく開業した自宅サロンも、契約違反や他の居住者とのトラブルによって手放さなければならない事態に陥る場合もありますので、開業する際は必ず大家さんや他の居住者の理解を得るようにして下さい。