マンションと一軒家の固定資産税の違いを解説します。
固定資産税はマンションや一軒家といった不動産を取得すれば、土地と建物に課せられます。
マンションと一軒家のどちらが安く済むかといえば、同じ専有面積の場合は一軒家になります。
どうしてそうなるのでしょうか、解説します。
目次
マンションと一軒家の固定資産税の違い|固定資産税額算定方法は?
固定資産税は土地、建物などの所有者に課せられる市町村税で、国が定めた固定資産評価基準に基づき、納税額が算出されます。
標準的な算出方法は「土地の評価額×1/6×1.4%」+「建物評価額×1.4%」です。
土地や建物の評価額は市町村が3年に1回、公示地価の7割相当をめどに算出します。
これに標準1.4%の税率をかけて弾き出しますが、市町村が財政再生団体になるなど財政状況が極端に悪化すると、高い税率をかけることもあります。
財政再生団体の北海道夕張市は1.45%です。
さらに、三大都市圏や都道府県庁所在地など都市部の市町村は都市計画事業や土地区画整理事業に伴い、別に制限税率0.3%の都市計画税が課せられます。
マンションと一軒家の固定資産税の違い|土地と建物に固定資産税の軽減措置
住宅用地は評価額より課税標準額を下げる特例が設けられ、各戸当たりの面積が200平方メートルまでは評価額の6分の1、それを超すと3分の1に上がります。
住宅用地でなければ評価額の70%が課税標準額になるのと比べ、優遇されているわけです。
軽減措置は建物に対しても設けられています。
軽減率は新築の場合で2分の1です。
軽減される期間はマンションと一軒家で差があり、マンションは5年、一軒家は3年と規定されています。
マンションなら購入から6年目、一軒家なら4年目に固定資産税額がはね上がりますが、それは建物の軽減措置が終わるからです。
マンションと一軒家の固定資産税の違い|一軒家より建物比率が高いマンションの固定資産税
一軒家で固定資産税の対象となる土地は購入した場所全体です。
これに対し、マンションの場合は全敷地面積を区分所有者の戸数で割った広さが土地の所有区分となり、ここに課税されます。
物件の購入価格に占める土地と建物の比率はケースバイケースでさまざまです。
ただ、一般的にはマンションが土地3、建物7なのに対し、一軒家は土地7、建物3と考えられています。
その結果、税額でもマンションの方が一軒家より建物の占める割合が高くなります。
土地よりも建物にかかる税額の方が大きな変動を示しますから、建物にかかる税額の変動が生涯に払う税金総額に大きな影響を及ぼすことになるのです。
マンションと一軒家の固定資産税の違い|高い固定資産税の支払期間はマンションが一軒家より長期に
土地の課税額は3年ごとの見直しですが、建物への課税額は減価償却によって徐々に下がっていきます。
耐用年数は鉄筋コンクリートのマンションが47年なのに対し、木造の一軒家は22年、軽量鉄骨プレハブ工法の一軒家は27年です。
マンション、一軒家とも固定資産税額が最も高い時期は建物の軽減措置が終わるマンションなら6年目、一軒家なら4年目ですが、マンションの方が建物としての価値が下がりにくく、その分高い固定資産税を支払う期間が長くなります。
建物の耐用年数が過ぎると固定資産税の大部分を土地が占めるようになるものの、鉄筋コンクリートのマンションと木造の一軒家では25年ものタイムラグが生じるのです。
マンションと一軒家の固定資産税の違い|建物の耐用年数が響き固定資産税は一軒家よりマンションが割高に
ここまでの情報を基に、購入価格が5,000万円の新築マンションと一軒家の固定資産税額をシミュレーションしてみましょう。
マンションは購入価格のうち、土地が1,500万円、建物が3,500万円、一軒家は土地が3,500万円、建物が1,500万円と想定します。
期間は30年。
物件の初期評価額を土地が購入価格の37%、建物がマンション30%、一軒家25%とし、評価額の見直しがこの期間中にないもののとします。
購入初年度の固定資産納税額はマンション約8万5,000円、一軒家約5万5,000円で、マンションが少し高い程度ですが、30年目はマンションの約7万3,000円に対し、一軒家は半額以下の約3万5,000円です。
マンションと一軒家の固定資産税の違い|一軒家より下がりにくいマンションの建物価値は固定資産税に影響
同じ専有面積の建物を購入した場合、マンションの方が一軒家より高いという結果が、シミュレーションでも出ました。
最も大きな影響を与えたのは、マンションの建物としての価値が一軒家に比べて下がりにくいことです。
年間数万円の差でも年月を重ねれば相当な額に膨れ上がります。
購入の際にはこの点も考慮し、物件を選びましょう。