不動産のおとり広告の事例と見抜く方法について紹介をします。
不動産売買における「広告」に関しては、不動産公正取引協議会によってルールが細かく定められています。
中でも、実際には売買の対象にはできない物件などを広告して集客する「おとり広告」に対しては、厳しい目で見ており、おとり広告と見做されると掲載中止などの処分が下されます。
悪質な場合は業務停止もあります。
目次
不動産のおとり広告の定義とそれに反する事例
おとり広告と定義されているのは、以下の3つです。
- 取引の対象となる不動産が存在しないため、実際には取引をすることができない不動産の表示:事例-実在しない住所・地番を掲載した物件など。
- 取引の対象となる不動産は存在するが、実際には取引の対象にはできない不動産についての表示:事例-売約済みの物件など。
- 取引の対象となる不動産は存在するが、実際には取引をする意思の無い不動産についての表示:事例-購入希望者に当該物件ではなく、他の物件を強引に勧める場合など。
つまり、不動産の購入希望者に対して、餌をちらつかせて釣ることを目的とした広告がおとり広告です。
不動産のおとり広告に多い事例
おとり広告として特によくあるケースは、販売の目玉となるような非常に安価な物件を契約済みにも関わらず、購入希望者の歓心を得るためだけに掲載し続けます。
価格が安いということは最大のセールスポイントになり、集客力のアップにおいては最も大きな効果が得られます。
そして、購入希望者がその物件を目当てに来店すると、『ちょっと前に、成約してしまいました』と言って、他の物件を勧めてきます。
当然、宅建業法においても、「著しく事実に相違する表示」、「実際のものよりも著しく優良若しくは有利であると人を誤認させるような表示」を禁止しています。
不動産のおとり広告と疑った方が良い事例
いくらおとり広告とはいえ、購入希望者の方でも広告内容や業者の対応を常識的な目で判断する必要があります。
業者において以下のような事例があったら、おとり広告を疑った方が無難です。
- 信じられないような好条件:同じ立地や間取りの物件と比べて、明らかに相場よりも安い価格、好条件になっている。
- 物件の登録が長期間:好条件にも関わらず、いつまでも売れ残っている。
- 現地での内見の拒否:物件の内見を要請しても、色々な理由を付けて店舗での説明に終始する。
- 住所の詳細情報が不記載:住所から物件情報を検索されないように、区町村以下の住所などの記載がない。
意図せずに不動産のおとり広告が起きかねない事例
原則として、物件における売買契約が交わされた時点で、業者は広告を修正しなければなりません。
ただ、不動産の広告というのはチラシなどの紙媒体だけではなく、ネット広告も多くなっています。
ネット広告の場合、週単位で情報を最新にしていくのが一般的であり、更新する日程前に売買が決まることもあります。
また、媒介契約によっては1つの物件に対して、複数の不動産会社が同一物件の広告を出しているケースがあります。
仮に他の業者が物件を成約したとしても、その情報がリアルタイムで共有することの難しいのが実態です。
業者の意図とは関係なく、更新漏れや情報漏れの起きることもあります。
不動産のおとり広告とは判断されない事例
不動産業者の日々の広告事務における作業環境を考慮され、以下のような事例はおとり広告とは見做されません。
1.チラシを作成した時点では、物件が販売可能な広告
2.ネットを更新した時点では、物件が販売可能な広告
チラシには概要欄を用意し、広告作成日を記載します。
広告に記載された日付の時点で物件が存在すれば(販売可能であれば)、おとり広告にはなりません。
ネット広告の場合は、前回更新日から2週間程度を更新の目安と判断されています。
従って、「月曜更新」という記載があるのに、2週目の月曜になっても更新されていなければ、おとり広告と見做されます。
なお、電話での問合わせには「その時点の状況」での案内になるため、期限の猶予はありません。
不動産のおとり広告に騙されないための心構えの事例
不動産の売買は一生の内に何度もあることではなく、また生活を左右する高額な取引です。
従って、広告を鵜呑みにするのではなく、自分の足で相場を調べることも重要です。
また、不動産会社に依頼するにしても、その不動産会社が誠実な業者であるのかを確認することも大切です。
おとり広告に騙されないためには、自分自身の努力も欠かせません。