不動産管理会社の節税を目的としたサブリース契約について紹介します。
不動産投資が順調に運営できていることで収益が大きくなると、次に考えるのが「節税」です。
脱税は法律違反ですから絶対にできませんが、節税は事業を行う上での大切な知恵です。
そして、不動産投資で有効な節税対策が、「資産管理会社」の設立による「サブリース方式」の利用です。
目次
不動産投資における資産管理会社による節税対策の一つサブリース方式
不動産投資をしている人の中には会社を設立する人がおり、その会社が「資産管理会社」です。
設立の目的は、不動産を会社名義で所有または管理することで、会社に与えられている様々な優遇を受けることです。
資産管理会社は活用の仕方によって、「所有方式」、「サブリース方式」、「管理会社方式」の3つに分類されます。
- 所有方式
法人名義でアパートやマンションを購入して経営します。不動産投資を個人名義ではなく法人名義で行うことになります。 - サブリース方式
個人で購入したアパートやマンションを資産管理会社が一括して借り上げ、個人が資産管理会社からサブリース料を受け取ります。 - 管理会社方式
資産管理会社に個人で所有するアパートやマンションの管理を委託します。
個人で行う不動産投資の資産管理会社による節税に有効なサブリース方式
一般的なサブリース方式では、サブリース会社がアパートやマンションのオーナーから物件をまるごと借り受けます。
物件を借り受けたサブリース会社は、それを入居者に転貸します。
そして、オーナーは毎月サブリース料(満室時の家賃の80~85%)を受領します。
このシステムを利用することで、個人で得ていた家賃収入の一部をサブリース会社(資産管理会社)に移すことができます。
資産管理会社に収入の一部を移せば個人の収入が減ることになり、個人に課せられる所得税の額を抑えることができます。
これが、資産管理会を設立する大きな目的です。
また、法人に移した分の所得に課せられる法人税の税率は個人に課せられる所得税の税率より低いため、トータルでの納税額を減らすことが可能になります。
不動産投資で管理会社を節税を目的とした設立とサブリース契約|収益を資産管理会社に移した場合のメリット
サブリース方式の資産管理会社のメリットは、所有方式よりも手軽に運営できることが挙げられます。
その一方、節税効果の点で所有方式に劣ることは否めません。
資産管理会社のタイプ別の特徴は以下になります。
1.運営の手軽さ
・サブリース方式:秀
・所有方式:劣
・管理会社方式:優
2.節税効果
・サブリース方式:秀
・所有方式:優
・管理会社方式:劣
なお、相場よりも著しく安い賃料でサブリースをすると、税務署から親族や同族会社への利益移転と見做される可能性があります。
従って、サブリース会社における手数料の金額は、サブリース会社の一般的な相場である入居者から得られる家賃の20%程度にするのが無難です。
不動産投資で管理会社を節税を目的とした設立とサブリース契約|資産管理会社設立のメリット
資産管理会社を設立することで得られる主なメリットには、以下が挙げられます。
1.高い節税効果
会社の設立は個人と法人との間の税率差を利用することが目的です。
現在、個人の所得税は増税傾向にありますが、法人税は減税に向かっています。
2.経費の拡大
会社を設立すると、個人では認められないものも経費として算入できます。
3.所得の分散
会社の役員に所得の少ない配偶者や子供を充て、報酬や給与を支払うことで、所得を家族の間で分散することができます。
支払う給与は経費として計上でき、また家族も給与所得控除を受けられます。
収入に占める経費の割合が多くなるとともに、控除額も増えることが、節税に繋がります。
不動産投資で管理会社を節税を目的とした設立とサブリース契約|資産管理会社設立のデメリット
逆に、資産管理会社を設立することで生じる主なデメリットには、以下があります。
1.設立費用の発生
会社を設立するには資金を必要とし、株式会社の設立には25万円ほどの費用がかかります。
また、会計を税理士に委託するとその報酬として、年間30~50万円を見なければなりません。
2.法人住民税の均等割
法人地方税は、所得から算出された法人税額に住民税率を乗じた「法人税割」と、法人の資本金などによって決定される「均等割」があります。
均等割については、法人の収益に関係なく課せられるため、赤字であっても均等割相当分の7万円を毎年納めなければなりません。
従って、上記の費用を上回る節税効果がないと、会社を設立する意味がありません。
不動産投資に管理会社を節税を目的とした設立とサブリース契約の妥当性
不動産投資における節税では資産管理会社を設立し、サブリース方式を採るのが有効です。
ただ、管理方式には他にも種類があるため、どの方式が適しているのかを検討する必要があります。
また、各管理方式にはメリットばかりではなく、デメリットもあるため、それぞれのタイプの節税効果や費用などをよくシミュレーションしてから、必要性の有無を選択することが重要です。