アパートの立ち退き料の判例の紹介をします。
アパートの立ち退き料は基本的に借主側が法律的に強い傾向があります。
これは立ち退きにより引越しなどを余儀なくされ、経済的な損失をこうむる可能性があるためです。
しかし、具体的な相場というものが存在しないため、判例を紹介しつつその実態を解説します。
目次
アパートの立ち退き料の判例は金額の差が激しい
アパートの立ち退き料の判例をみると金額の差が激しく、何を参考にすれば良いのかと思われがちです。
数百万程度の金額も珍しくなく、さらに高い立ち退き料が認定されたケースもあります。
ポイントになるのが立ち退きに関する正当な理由があるかどうかで、正当な理由がなければ立ち退き自体が認められないケースもありえるのです。
賃貸契約を年単位で行うケースは多くなっていますが、契約の時点で契約期間は住めることを保障するのが貸主の義務になります。
それを覆す場合は転居の費用などを貸主側が用意するなど工夫した上で、お願いして契約を無効化してもらう必要があるのです。
無理を通そうとすれば金額も高くなることに理解が必要です。
アパート立ち退き料の判例1|入居者が高齢だった場合
アパート立ち退き料としては比較的高額になった判例があります。
貸主が老朽化を理由にアパートの取り壊しと建て直しを検討し、住民に立ち退きを要求した案件です。
昭和57年と古い判例になりますが、地価の上昇が激しい中で月2万5千円という家賃を維持するのが困難であり建て替えを希望したというものです。
ポイントになるのが借主側も高齢者が多く、転居が困難であったことです。
しかし、貸主側も経済的に維持が困難問うこともあり、1世帯あたり平均約522万円の支払いをすることで立ち退きが認められました。
家賃に対して立ち退き料が高いのは借主が高齢者であることが大きく影響しています。
アパート立ち退き料の判例2|入居者が若かった場合
アパートの立ち退き料の判例を見る場合は借主側の年齢や経済力も大きく影響してきます。
貸主が自分で住むために借主に明け渡しを求めたケースで借主の年齢が若いこと、経済的に余裕があることが大きく影響した例があるのです。
転居の費用や不動産業者への仲介費用を含め約200万円の立ち退き料が認められましたが、これは周辺の住宅事情も影響しています。
周辺に転居で選択できる物件が多く、借主も若くて経済的に安定していれば入居を断られる可能性が低くなるためです。
経済的な困難を抱えた人であれば新しく契約をすること自体が難しくなるため、費用が高くなる傾向があるのです。
アパートの立ち退き料の判例3|そもそも立ち退きが認められなかったケース
アパートの立ち退き料の判例の中には、そもそも貸主側の都合による立ち退きの請求が却下された例もあります。
たとえばアパートの老朽化などを原因に建て替えをしようとしても、実際に差し迫った事情であるかどうかはアパートの状況によって異なります。
建築基準法の基準を満たしていないなどの事由があれば話がかわりますが、正当な理由がないのに立ち退きを要求することはできないのです。
立ち退きは6ヵ月前に通知を行うのが法律で定められていますが、これを怠った場合も正当な理由と認められない理由となります。
お金で解決できる範囲をこえてしまうこともあるため注意が必要です。
アパートの立ち退き料の判例で考えるべきこと
アパートの立ち退き料の判例の中には、周囲に空き物件が多く、家賃自体も相場にたいして著しくやすいことからほとんど負担がなかったケースなどもあります。
注意したいのは判例がでているのは裁判で決着がついたものだということです。
立ち退きについて争い、裁判にまで発展した場合はその間、建物を壊すこともできなくなってしまいます。
借主には住民として住む権利が保障されているため、どうしても貸主の立場が弱くなりやすいのです。
そのため、借主の権利が強いことを意識した上で、立ち退きを要求する場合は余裕をもって行う、転居費用の支払いなども含めてしっかりと保障をするなど工夫が必要になるのです。
アパート立ち退き料の判例はあくまで目安の一つ
アパート立ち退き料の判例はあくまで目安の一つです。
立ち退き料は正当な自由の有り無しや、それを補うための経済的な保障をどれだけ補うかで決まってきます。
貸主と借主の経済的な状況にも影響を受けるため、一概にどうとはいえないのです。
しかし、裁判になると高額な立ち退き料の支払いが必要になるケースや、立ち退きの要求自体が無効と判断されるケースもありえます。
そのため、裁判になる前にうまく条件交渉を行い、穏便に立ち退いてもらうのが一番なのです。