不動産投資をしている方、不動産投資に興味がある方の中には、「ふかし」行為というものを聞いたことがあると思います。
この「ふかし」は、「違法」行為に当たるため、不動産売買を行う上では行ってはいけないものです、しかし、業者にそそのかされて知らぬうちに行ってしまう恐れもあるものです。
このようにいつの間にか違法行為に加担してしまわないよう、ふかし行為について解説します。
目次
不動産投資におけるふかし行為|売買契約の改ざん等により、金融機関より過大な融資を受ける行為
まずは「ふかし」行為が何かを説明します。
不動産売買における「ふかし」行為とは諸費用の水増しや、不動産本体の価格を誤認させる等の方法によって、金融機関に不動産価格の算定を見誤らせることで、本来可能な借入限度額より過大にローン借り入れを行う行為を言います。
もちろん金融機関を「だます」行為ですので、詐欺行為に当たる可能性が高いです。
本来は自己資金充当が必要な売買をフルローンでまかなったり、手元資金を充実させるために不動産価格より大きな金額を借りる「オーバーローン」になっていたりする例が散見されています。
不動産投資におけるふかし行為|二重売買契約により金融機関をだます手口
最も一般的な「ふかし」を実行する手口は俗に「二重売買契約」と呼ばれるものです。
先に書いたように、「ふかし」行為では金融機関に対し、諸費用の水増しや、不動産価格を大きい額に誤認させる必要があるわけですが、実際の売買契約にて、この水増しされた金額で売買されてしまっては意味がありません。
では、どうするのかというと、契約書を「実際に売買するもの」と「金融機関に見せるもの」の2パターンを作成するのです。
勿論金融機関用と、実際売買用で異なる金額、つまり金融機関に提出するものには水増しした金額を記載することで、金融機関に売買金額を誤認させるのです。
不動産投資におけるふかし行為|ローン借り入れ未遂で発覚した場合
さて、「ふかし」行為は悪質な投資家・一部不動産売買業者の誘導などにより実際に行われてしまっている行為ですが、もちろん発覚するリスクも相応にありますし、発覚した場合にはそれなりのペナルティがあります。
実際にローンが実行される前の審査段階で発覚した「未遂」に終わった場合は、審査がおりずにお金が借りられないだけです。
勿論あまりに悪質な場合は金融機関による通報により「詐欺未遂」となる可能性もゼロではありませんが、現実にはそこまでには至らないケースが多いです。
但し、当該金融機関では要注意人物扱いされるため、二度とローン借り入れをできなくなるリスクはあります。
不動産投資におけるふかし行為|後で発覚した場合はより重大なペナルティとなることも
実行者にとってより影響が大きいのは、「ローン借り入れ後」になんらかのきっかけで「ふかし」行為が発覚した場合です。
この場合は少なくとも即座にローン借り入れは中止となり、借り手は一括で速やかにローンを返済する必要があります。
保有資産の売却などで賄えられればまだいいですが、資金が不足している場合は最悪破産に至る可能性もあります。
また、繰り返しになりますが、これは「詐欺行為」とみなされる可能性が高いため、金融機関の通報等により刑事処罰を受ける可能性もあります。
そこまでには至らずとも、金融機関が賠償請求を余地もありますので、未遂時と比較して実行者が受けるペナルティははるかに大きくなります。
不動産業者がふかし行為を事実上誘発している場合もあるので注意
さて、これほどの重いペナルティを受けるリスクがあり、そもそも違法行為なわけですから、不動産投資家の皆様はこの「ふかし」行為を絶対に行ってはいけません。
ただここで気を付けたいのは、本人に「ふかし」の自覚がないままに、いつの間にかこの行為を行っている事例があることです。
これは不動産投資についての知識が長けていない購入者が、一部の悪質な不動産仲介業者がそそのかされる形で発生します。
不動産仲介業者は売買契約の成立が収益の源泉ですので、何とかして売買契約を成立させようとします。
そのため、購入者が売買がしやすいように、金額水増しをさせる「ふかし」をそそのかすことがあります。
たとえ自覚がなくとも違法は違法ですので、このような悪質な業者にそそのかされることのないよう気を付けなければなりません。
不動産投資におけるふかし行為|充分な注意力を持ってうっかりふかし行為を行ってしまわないよう注意
「ふかし」行為は実態として発覚しにくく、手元の現金を一時的に増やしたり、手元至近が少ない状態で不動産売買ができるようになってしまう手口ですが、あくまでも違法行為です。
投資家の皆様は自分から「ふかし」を行ってしまわないことはもちろんですが、無知のうちに悪質業者にそそのかされる形で「ふかし」に加担してしまわないよう、充分な注意力をもって不動産売買に取り組む必要があります。