アパートで病死した人がいる場合、告知義務がどうなるのか不安になる不動産オーナーは多いものです。
病死は自殺や他殺といった事故物件に当たらないと考えるのが通常ですが、孤独氏で発見が遅れた場合などは告知義務が発生する場合があります。
ケースによって違いが大きいため、どの程度が認められるかはしっかりと考える必要があります。
目次
アパートで病死が起きた場合告知義務は法律上の定義がない
アパートで病死が起きた際の告知義務は法律上の定義がないのがポイントです。
これは自殺や他殺が起こった事故物件でも同様ですが、病死は自然に起こりえるため告知する必要がないという専門家もいます。
具体的には病死して半年以内で部屋を借りた借主が告知義務違反を求めた裁判で、告知義務はないとした判例などが存在します。
事故物件の場合は1年半程度前の自殺・他殺であっても告知をすべきといった判例もあり、大きな違いがあることがわかります。
ただし、事故物件でも事故が起きたことを貸主が知らない場合は責任が問われなかったケースもあります。
法律上の定義がないため、個別に判断する必要があるというのが告知義務の難しいところになっているのです。
アパートの病死で告知義務が起こるかは事件性があるかどうか
アパートの病死で告知義務があるかどうかの目安になるのが事件性の有り無しです。
たとえば、病死してすぐに同居している家族が発生した場合と、孤独氏で死体が長く発見されなかった場合はどうでしょうか。
家族にすぐに発見された場合は事件性がないだけでなく、残された家族が住み続ける可能性もあります。
借りに転居をしたとしても不動産としての価値に問題があるとは判断できない状態です。
しかし、孤独死で発見が遅れれば遺体の腐敗が進み、発見者やそれを伝聞した人に精神的なストレスを与える可能性があります。
この場合は告知をするのが妥当と判断される事由になりえるのです。
リフォームをしてもアパート病死の告知義務が残ることも
発見が遅れた孤独死などのいわゆる悲惨な病死の場合は、アパートのリフォームをしても告知義務が残る可能性があります。
もちろん、異臭が残るなど問題がある物件であれば告知義務は発生しますが、リフォームなどを行って全く痕跡などが残らない状況にしたとしても事実を消すことはできなくなります。
新しい居住者に伝聞で情報が伝わる可能性も存在し、精神的な抵抗感が残るのであればそれは告知を行うべき理由に相当するのです。
ただし、事故物件でもあっても2年から3年ほどで告知義務はないとした判例も存在します。
内容によって変化はするものの、ずっと価値が下がり続ける訳では無いのです。
アパートの病死告知義務は次に住む住民まで
仮にアパートで病死が発生したとしても、告知義務が発生するのは次に住む入居者までというのが一般的な見方です。
これは部屋に住んだ人の情報が次の住民の情報によって上書きされるためです。
住民が心霊現象などで苦しんで退去したなどの事象があれば、告知義務が継続する可能性はあります。
しかし、実際に住んで問題ないことが確認された場合は告知義務自体も消えることが一般的なのです。
2年や3年といった契約更新のタイミングと同じく、住民の入れ替わりによって告知すべきか否かが分かれることもあるのです。
心霊現象が起きたなどと住民が言っていたにもかかわらずそれを隠して賃貸契約を行った場合は、告知義務に違反の可能性があります。
アパート病死の告知義務の有り無しは個別に判断するのが原則
アパート病死の告知義務は個別に判断するのが原則になります。
不動産業者や弁護士などによって判断が分かれるケースは多いものの、孤独氏による発見の遅れや報道による事件化などの特別な事由がなければ義務自体がないと考えるのが一般的になっています。
ただし、住民がそれを受け入れるかどうかは別になるため、些細な理由であってもクレームがつけられる可能性はあります。
告知の必要の有り無しの線引きはしっかりと行っていた方が良く、場合によっては入居を断るという選択肢もでてきます。
事件化している場合は別として、貸主にも断る権利などがあることに理解が必要です。
アパート病死の告知義務は内容によって大きく変わる
アパート病死の告知義務は内容によって大きく変わり、事件性がなければ義務も生じないと考えるのが一般的です。
ただし、孤独死からの遺体発見までに時間がかかった場合や報道による事件化が起きた場合は例外的に告知義務が生じることがあります。
病死からどれだけ時間がたっているのかなども考慮した上で総合的に判断する必要があるのです。