不動産売買契約書の特約条項の記載例とはどのようなものがあるのでしょうか。
不動産売買契約書に記載される特約条項は特記事項、あるいは容認事項ともいわれ、物件特有の事柄や事情、取り決めなどを記載するものです。
この特約条項は買主にとっては不利な内容が含まれている場合もあるため、買い手である場合には必ず確認するようにし、十分注意しなければなりません。
目次
不動産売買契約書の特約条項記載例|不動産売買契約書における特約条項とは
不動産売買契約書に記載される特約条項とは端的にいうと「通常の条項以外の特別な約束事」で、「通常の条項よりも効力があり、優先されるべき約束事」です。
このため、売買契約書の内容に矛盾するものがあれば、特約条項の記載が優先されるだけでなく、たとえば「第○条の取り決めに係らず、○○すること」といったように、売買契約書の一部の条項を打ち消す場合もあります。
ただし、どのような内容であっても効力を持つわけではなく、消費者にとって著しく不利な内容については認められません。
不動産売買契約書の特約条項記載例|特約条項の内容
一般的に特約条項に記載される内容としては、建物に関することのみならず、敷地や隣地関係のほか、周辺環境などで生じている問題点などが考えられます。
内容は軽微なものから重大なものまでさまざまですが、将来的に予測されること、つまりまだ起きていない事象や、その解決方法が言及されることは稀です。
また、不動産売買契約書に記載される条項は法律で規定された項目となりますが、特約条項はそれ以外の項目が記載されることもあります。
不動産売買契約書の特約条項記載例|特約条項に記載されない内容
特約事項では法律で規定された以外のさまざまな項目が記載されるといっても、売買契約をする物件についてあらゆることが説明されているわけではありません。
通常特約条項として説明されるもののひとつとしては、一般の人が嫌悪感や不快感、危険性などを感じるような施設や構造物、建築物である嫌悪施設が挙げられますが、これは人によって好き嫌いが別れ、感じ方が異なるものです。
このため、必ずしも特約条項で説明されるとは限りません。
たとえば、眺望や環境について、買主が窓から見える特定のものが気に入って物件の購入を決めたような場合でも、その意思を明示していなければ売主は認識ができないことから、将来的にその眺望が遮られるとしても、特約事項における説明の対象とはならないと考えられます。
不動産売買契約書の特約条項記載例|用いられることの多い特約事項
では、実際に特約事項とはどんなものでしょうか。
そのいくつかをみてみましょう。
本物件に関する登記手続については、売主指定の司法書士・土地家屋調査士によって行うものとします。
建売物件などにおいて、登記手続きを行う者が指定されている場合に用いられる特約です。
当該物件の周辺環境については充分確認した上で本売契約締結するものとしますが、契約後に生じる近隣トラブルは当事者間で解決するものとします。
近年増加している近隣トラブルによるクレームを避ける目的で記載されることが増えている特約です。
重要事項説明書備考欄に記された内容につき、買主はこれを承諾するものとします。
不動産売買契約を行う際には、宅地建物取引士による重要事項説明が行なわれますが、このとき提示される重要事項説明書の備考欄に記載される内容に異議が出ないよう、契約書でも確認するための特約事項です。
不動産売買契約書の特約条項記載例|疑問点は確認する
特約条項に記載される内容については、主観に左右されることも多いものもあります。
そこで物件に求める条件については、買主側が事前にきちんと意思表示をする必要があるといえるでしょう。
売主が説明してくれるだろうといった思い込みや希望的観測で判断するのではなく、物件や周辺などを事前に確認しておくことも大切です。
このように、特約条項に記載される内容は物件の環境や状況によってそれぞれ異なります。
このため、不動産売買の契約を行う際には、売手、買手ともに十分な意思疎通を行わないとトラブルの元となるため、注意が必要です。