マンションの防災マニュアルとはどのようなものなのでしょうか。
集合住宅であるマンションは、災害時に居住者同士が協力して対応できるという、戸建て住宅にはないメリットがあります。
一方で、このメリットを最大限に活かすためには、災害時に予想されるトラブルや日常から留意しておくポイントなどを防災マニュアルとしてまとめておく必要があります。
目次
マンションの防災マニュアル|災害対策の基本
マンションの防災マニュアルを作成するにあたって、まずは災害対策の基本的な考え方を知っておきましょう。
大規模な災害が起こった場合、国や自治体の援助を得られるのは復興の最終段階です。
このため、それまではマンションの住民をはじめとした地域のコミュニティでお互いに協力して現状を乗り切る必要があります。
そこで災害対策の基本的な考え方となるのは以下の3つです。
- 自助…自分の命は自分で守る
- 共助…地域のコミュニティでお互いに助けあう
- 公助…行政による救助や支援により復興を目指す
このポイントを理解していることで、より有効な防災マニュアルを作成することができます。
マンションの防災マニュアル|専門委員会を設置する
災害対策の基本を理解したうえで、防災マニュアルを作成するにはまず専門委員会を設置する必要があります。
マンションには通常管理組合が存在しますが、理事会が開かれるのは通常月1回程度のため、情報収集もままならないばかりか、いつ起こるかわからない災害対策には不向きです。
そこで防災マニュアルを短期間で作成できるような、専門委員会を設置が有効です。
マンションの防災マニュアル|情報を収集
専門委員会を設置したら次に、防災マニュアル作成の基礎となる情報収集が必要です。
マンション所在地の自治体では、ほぼ例外なく災害時の対応マニュアルが配布されています。
ここには地震をはじめ津波、洪水などへの対応についても記載されているはずです。
そこで、以下のような点を確認し、自治体がどのような流れで災害を把握し、対応しようとしているのかを知らなくてはなりません。
- 自助・共助に関し住民に求めていること
- 日頃の備え
- ハザードマップ
- 災害時の避難場所
- 災害時の情報源
また、自治体によってさまざまです情報が提供されていますが、大切なのは公式の情報のみを入手し、整理する時点で混乱しないようにすることです。
マンションの防災マニュアル|情報の共有と居住者の協力
自治体から提供されている情報が整理できたら、専門委員会からマンション管理組合の理事会へ報告を行います。
これにより、防災対策では「共助」が必要であることを明確にするのです。
具体的には理事会への報告内容や、それに対する理事会の方針、マンションの住民が個々に備えるべきポイントなどが理事会の議事録に残り、住民に配布されることでマンションにおける防災対策が周知され、情報が共有されます。
そのうえで、住民が個々に災害に備えることを要請し、「自助」について必要性についても理解を求めるのです。
マンションの防災マニュアル|防災マニュアルを作成する
ここまでの準備が終了したら、いよいよ防災マニュアルを作成します。
そこで防災マニュアルの構成内容の一例は主に以下のような項目です。
- 防災マニュアルの作成にあたっての行動指針
- 災害時の組織体制
- 情報の収集と提供方法
- 緊急連絡網
- 応急救護・初期消火・避難等の手順
- 災害復旧作業の手順
- 非常用品の備蓄をはじめとした災害予防対策
- 防災訓練や防災対策について
また、多くの自治体では具体的な事例も取り上げつつ、マンションの防災マニュアルの手引きを配布しています。
マニュアルの作成で不明な点は、こうした手引きも参考にするとよいでしょう。
そのうえで、マンションの管理規約との整合性を取り、防災マニュアルの有効性を示す必要もあります。
ここまで、防災マニュアル作成の手順や方法についてみてきましたが、防災マニュアル自体が未知の出来事に対するものである以上、完璧を期すことは不可能です。
そこで、防災訓練を行い、マニュアルの内容を精査し、随時改訂することを前提とすることで、より有効性の高いマニュアルの作成が実現できるでしょう。