マンションの売値と買値では差額が生じます。
売買による利益がなければ業社はやっていけませんから差額がうまれるのは当然ですが、中には驚くほど高額で売却される物件や安く買い叩かれる物件もあります。
今回は、マンション価格の決まり方と売値と買値の差額の理由について解説します。
目次
マンション需要と供給で売値と買値の差額が発生する
マンションを含む不動産取引では物件に対する需要と供給によって価格が決まるのが基本です。
マンションを欲しいと考える人が多く需要が高ければ相場は上昇し、購入希望者が少なければ相場は上昇します。
需要に対してマンションを売却する人が少なければ供給不足で相場は上昇し、需要に対して供給が多いと相場は下落します。
マンションの需要と供給には全体としての需給バランスと個別物件に対する需給バランスの2つが影響します。
マンション市場全体の需給バランスは基礎的な価格に影響を及ぼしますが、より売値と買値に強い影響をあたえるのは個別物件に対する受給です。
立地がよいなど固有の強みを持つマンションは市場の需給バランスに左右されにくく常に安定した需要で強気の売値がつけられます。
逆に設備が古いなど弱みを抱える物件はマンション市場全体で需要が高まっても購入希望者は見つかりにくく、低い売値を設定しないと欠いてが見つかりません。
マンションに対する価値評価で売値と買値に差額が出る
マンションに対する価値評価というのは極端にいうと個人によって異なります。
ある人にとっては魅力的で価値ある物件と思えても別の人にとっては全く価値が見いだせない物件である、というのは珍しくありません。
例えば窓から富士山が見える物件は景色の良さを求める人にとっては高い価値を持つ物件ですが、マンションは機能や使い勝手が重要で景色なんてどうでもいいと考える人にとっては富士山が見えたところで付加価値としては評価になりません。
一般的な相場水準はあるものの、最終的に売値と買値を決めるのは売買の主体となる当事者です。
当事者の価値評価基準が異なれば売値と買値に差が出るのは当然です。
売却や購入を急ぐ理由がある場合、自分の評価基準では納得いかない価格であっても売買が成立し、両者の間で生じている評価ギャップが売値と買値の差額になります。
周辺環境の変化がマンションの売値と買値に差額を生じさせる
周辺環境の変化も売値と買値に差額を生じさせる要因になります。
マンションの価格は物件そのものの価値だけで決まるわけではありません。
マンションの周辺環境は価格に強い影響を及ぼす要因であり、生活利便性が高い物件ほど物件そのものが持つ価値よりも高い価格で取引が成立します。
開発されたばかりのエリアに建つマンションの場合、購入時は周りに何もなかったのに数年立つと開発が進み大型スーパーや病院などができたというケースがよく見られます。
そのようなケースでは購入当初は利便性が低く価格も低めですが、開発が進んだことによる利便性向上が付加価値として加わった数年後は価格が大きく上昇します。
このような事例ではマンションそのものに変化はなくても周辺環境が変化することで売値と買値に差額が生じます。
競合マンションによる売値と買値の差額
不動産は競合する物件の有無により売値や買値が変動します。
その地域で売りだされているマンションが一戸しかない場合、売主は強気に売値を設定できます。
どうしてもマンションがほしい購入希望者は希望額よりも高い買値をつけざるをえません。
このような状況にあるときに周辺で同じような価値を持つマンション物件が売り出されると状況は大きく変化します。
購入希望者は売りだされているマンションと競合物件を比べてどちらを買うか決められるので、取引価格の決定権は売主側から買い手側に移ります。
売主は取引を成立させるためには値引きに応じざるをえず、取引価格は買い手が希望する金額で決まります。
このケースでは売主にも買い手にも変化はなく、競合物件という外部存在が売値と買値に差額を生み出す要因となっています。
マンション売却手続きによる売値と買値の差額
手続きによって売値と買値に差額が生じるのも不動産取引ではよく見られます。
マンションを売るにはいろいろな方法がありますが、大きく分けると「買取」と「売却」の2つの方法があります。
「買取」ではマンションを不動産業者に買い取ってもらいます。
確実にマンションを現金化できるのが大きなメリットですが不動産業者の利益確保のために買取価格が低くなってしまうというデメリットがあります。
「売却」は直接購入希望者を探す方法で、不動産業者に委託して買い手を探します。
直接売却することで買い取りよりも高額で売れるのがメリットですが購入希望者が見つからなければいつまでもマンションを処分できないという不安定さがデメリットです。
どのようにマンションを売るのか、手続きによって売値と買値には差額が生じます。
価格を重視するのかそれとも早期売却を優先するのか。売値と買値の差額は売却方針に強く影響を受けます。
マンションの売値と買値の差額は理由を知ることが大切
マンションは売値と買値に差額が生じるのが当然です。
重要なのはなぜ差額ができたのか理由をきちんと知ることです。
差額が出来る理由を知り十分に納得した上で取引しないと契約成立後に後悔する可能性があります。
高額が動く不動産取引ですから慎重になりすぎるということはありません。
売値と買値の差額に納得がいかないのなら契約を急がずもう一度検討しなおしましょう。